市民ランナー初のMGC出場権獲得 〝最強主婦〟山口が悲願の初優勝 北海道マラソン
■2022北海道マラソン (28日、札幌・大通公園発着=42.195キロ)
〝最強の市民ランナー〟が、真夏の女王に輝いた。3年ぶり開催となった北海道マラソンの女子で、実業団在籍経験のない山口遥(35、AC KITA)が、2時間29分52秒で優勝。パリ五輪代表を決めるマラソングランドチャンピオンシップ(MGC、2023年秋開催)への出場権を、市民ランナーとして初めて獲得した。男子は、初マラソンのケニア出身選手、ルカ・ムセンビ(21、東京国際大)が2時間10分49秒で栄冠を手にした。
序盤苦しい展開も2位を4分近く離し圧勝
市民ランナーとして走ることを諦めなかったベテランの努力が、ついに実を結んだ。序盤は、すでにMGC出場を決めている松下菜摘(27、天満屋)ら、トップ集団から40秒以上離される展開となったが、焦らずに事前のレースプランを維持。「30キロまでには追いつこうと走った」(山口)と振り返る通り、25キロ付近でトップを捉え、30キロ過ぎから突き放した。
2位青木奈波(27、岩谷産業)を4分近く引き離しゴールする圧勝劇。5キロごとのスプリットタイムをすべて17分台半ばから後半でまとめる、ベテランらしい、終始安定した走りで五輪代表決定戦への切符を手にした。
パリ五輪への道「チャンスを手放さないように」
実業団所属選手以外がMGCへの出場権を得るのは初めてだ。パリ五輪については「チャンスを手放さないように、明日から(MGCで)しっかり戦うための練習を積み重ねたい」と、すでに照準はMGC開催予定の来年秋に向いている。
ランナーとして実業団での活躍を思い描いていたが、大学卒業後、その夢はかなわなかった。それでもコツコツと練習を重ね、いつしか「最強の市民ランナー」と称されるようになった。今では「実業団の方はプレッシャーを抱えながらですが、私はプレッシャーがなく優位な立場」と逆境を味方にした。職業は?と問われ「主婦。旦那の理解で私の好きなようにやらせてもらっている」。最強の〝主婦ランナー〟が五輪出場権に挑む。