万波 チームトップ14号V弾 岸の直球狙い撃ち「最高の形になってくれた」
■日本ハム3-1楽天(2日、楽天生命パーク)
三回は直球3球空振り三振
滞空時間の長い打球が左翼席中段に吸い込まれた。同点の五回1死。万波中正外野手(22)が楽天先発の岸に牙をむいた。追い込まれてから高め直球を強振。「打った瞬間に行くかなと思いました」と振り返ったチーム単独トップの14号ソロ弾が決勝点となった。
三回の第1打席は岸の術中にはまった。変化球が頭にある中で、3球続けて直球で押された。ファウルにすることすらできず、空振り三振。心理戦で、後れを取っていた。
五回の第2打席。開き直りが功を奏したのかもしれない。「真っすぐでやられていたので、とにかく真っすぐ。いろんな球種を追いかけるのは難しいピッチャーなので、最後まで真っすぐだけは変なやられ方をしたくないなと思っていた」。カーブやチェンジアップは何とか当てる。真っすぐは逃さない―。甘くなった高めの釣り球を仕留め「最高の形になってくれたので、良かった」と喜びをかみしめた。
ベンチで見守った新庄監督の想像を超えていた。腹をくくった万波の狙いが、楽天バッテリーの読みを外すようなリードと合致したと指摘。私見を交えながら「2ストライクから、向こうのミス(失投)だと思いますけど、あれを打つんだから逆にビックリしましたよ。表になったね。裏の裏が」と駆け引きの妙に触れて笑った。
弱点を補うため工夫しながら進化
今季は89試合に出場して三振は97個。打率は.208。チーム屈指のスイングスピードを生かした爆発力と、ボール球を振らされるようなもろさが同居している。弱点を補うために追い込まれてからノーステップ打法を試すなど、工夫しながら進化を目指してきた。
スランプに陥ることもあるが、明るさは失わない。8月中旬から三振が増えていたが「前に飛ばねーなーぐらい。最近、気持ち的には割り切れてはいた」と明かし「三振はここから減らしていければ良いかなと思います」と決意を込めた。スケール感たっぷりの高卒4年目スラッガーは、底知れない潜在能力を開花させるため、必死にもがき続ける。