新庄BIGBOSS V完全消滅も来季巻き返しへ 楽天に延長サヨナラ負け
■日本ハム4-5楽天(3日、楽天生命)
日本ハムが3日、敵地で楽天に4―5で敗れ、6年連続で優勝を逃した。前回登板でノーヒットノーランを達成した先発のコディ・ポンセ投手(28)が6回5安打3失点と粘り、一時は逆転にも成功したが、最後は延長十回までもつれ、押し出し四球でサヨナラ負け。22試合を残し、V逸が決まった。今季はBIGBOSS新庄剛志監督(50)が就任会見で「優勝は目指しません」と宣言した通り、選手たちを成長させることに専念。新球場に移転する来季の巻き返しへとつなげていく。
押し出し四球で幕切れ 総力戦で力尽きた
最後の一滴まで絞り出すような死闘の末、重たいサヨナラ負けを喫した。日本ハムは22試合を残し、4年連続のレギュラーシーズン負け越しが決まり、6年連続のV逸が確定。チーム再建を託され、始動したビッグボス政権の1年目は想定通り、厳しい現実にぶち当たった。
めまぐるしく流れが変わった。序盤は抑え込まれた打線が3点を追う六回に奮起。田中将の攻略に成功し、鮮やかな集中打で4点を奪った。前回登板でノーヒットノーランを達成した先発のポンセが粘り、七回から継投に移行。同点の延長十回1死満塁で、代打の松本剛が三ゴロ併殺に倒れると、裏の守りで2死満塁から玉井が押し出し四球を与え、力尽きた。
試合後「きょうはコメントなし」
6人の投手が登板し、野手は捕手2人を残し、使い切った。試合後、新庄監督は「きょうはコメントなし」と広報を通じて伝言を残し、多くを語らなかった。
ライバル5球団が5割ラインを基準に覇権を争っているが、蚊帳の外に置かれている。開幕から10試合は1勝9敗。いきなり〝周回遅れ〟だった。開幕投手にはドラフト8位ルーキーの北山を抜てき。指揮官は就任会見で「優勝は目指しません」と宣言した通り、目先の1勝よりも個々の成長にこだわった。
1年目は覚悟の最下位 チーム強化のために全力采配
大きなインパクトを残した言葉や起用法の真意について、後に明かした。「優勝を目指さないのは、目指せないから」「開幕戦、勝ちにいくなら、上沢君ですよ」。チーム強化の最善策を模索したとき、時間をかけて戦力を整備する必要があると考えた。ファンの願いをくみ取った上で、1年は優勝を捨て、力を蓄える―。あえてタブーに切り込んだ。
批判も汚名も全てを受け入れ、背負う覚悟で采配を振るっている。そのスタンスは、シーズンを通して揺らがない。今季に限っては、必然の負け越し、必然のV逸、必然の最下位―。ビッグボスの人生にリンクするような成り上がりストーリーは来季、本格化する。