清宮「新BIGBOSS打法」で満塁一掃三塁打!
■日本ハム6ー2オリックス(6日、札幌ドーム)
「全然打ってないんで」満塁機で今季初の快音
久しぶりに笑顔が弾けた。「7番・一塁」で先発した清宮幸太郎内野手(23)が、1点リードの五回2死満塁から走者一掃の適時三塁打を放ち、勝利の流れを引き寄せた。
今季は絶好機の満塁で8打数無安打4三振と、ことごとく凡退していたが、ようやく〝鬼門〟を突破した。左腕・山田の143キロ直球を振り抜いた打球は右中間を深々と破った。「今年満塁で全然打ってないんで。さすがにもう、良かったです」と安堵の表情を浮かべた。
試合中のコメントでは「新BIGBOSS打法」と命名。この日の練習中に新庄監督から「野球ってスポーツは芯に当てる確率のスポーツだから。指1本分ちょっと短く持って練習でやってみて」という助言を試合でも実践し、見事にハマった。
この試合から北海道移転後の初代ユニホームを着用して試合に臨んでいる。新庄監督や金子野手総合コーチ、ダルビッシュ(現パドレス)が常勝時代を築いた戦闘服に袖を通し、清宮は「すごい人たちが着てたのを着させてもらう。昔見てたユニホームなんで、意志が受け継がれてるなって感じがしますね」と感慨にふけった。
大災害から4年…「特別な日と分かっていた」
6日で「胆振東部地震」から4年が経過。北海道が「ブラックアウト(大規模停電)」に襲われ、甚大な被害を受けた。当時ルーキーだった清宮も旭川での遠征から札幌市内の選手寮に帰った夜に被災。電気も水も止まり、普通に生活することもままならなかった。
野球をやっていいのか―。そういう葛藤もあった。震災後、札幌ドーム初試合となった2018年9月14日のオリックス戦を4―3で勝利し、清宮は「勝てたのが一番良かった。特別な日と分かっていた。来てくださった方のために、という気持ちをチームで共有できていた」と話した。当時は照明なども暗く落とした中での一戦だったが「そんなことは言ってられない。少しでも元気になってもらえれば」と強い気持ちを示していた。
1年後の2019年9月6日のオリックス戦では2点本塁打を放ち、この日も3点三塁打をマークした。活躍して少しでも明るい話題を届けることが、プロ野球選手としての使命だと、一つの答えに行き着いた。
「僕たちって、いてもいなくても生活に支障はないですけど、少しでも皆さんの生活が豊かになれれば、という存在だと思う。まだ心の傷が癒えない方もたくさんいると思う。そういう人たちに僕たちの存在が少しでも力になれれば、やっぱりプロ野球選手をやっている価値があると思います」
リーグ優勝は消滅し、CS(クライマックス・シリーズ)進出も絶望的だが、光を届けることはできる。残り1カ月、最後まで全力プレーで駆け抜ける。