高校野球
札西陵が涙の5年ぶり公式戦勝利 勝った喜びで校歌歌えず
▽秋季全道高校野球支部大会 札幌支部Aブロック2回戦 札西陵7-6札北(7日、札幌円山)
札幌支部2回戦6試合が行われ、札西陵が7―6で札北との接戦を制し、2017年秋以来、実に5年ぶりの公式戦1勝を挙げた。6失点も154球と粘りの投球の末に完投した田淵悠投手(2年)ら、1年生から公式戦出場経験のあるメンバーを中心に、5季連続で五回コールド負けの汚名を返上した。
エース田淵が粘りの6失点完投
札西陵が、忘れていた勝利の味をかみしめた。最後の打者を遊ゴロに打ち取ると、マウンドの田淵が渾身のガッツポーズ。選手の目にも、ベンチ前の四ツ柳孝明監督(49)の目にも涙が浮かぶ。「苦しかった。少し野球になってきたのかな」と選手の成長に潤んだ目を細めた。
一回裏に打者一巡の猛攻 6季ぶり得点
新チームが掲げたのは「九回まで試合をやる」。今夏の南大会出場左腕を動画で研究し、マシンで目を慣らしてきた。先制された直後の一回、打者一巡の猛攻で一挙4得点。6季ぶりの得点で逆転に成功すると、2点リードで六回に突入。九回3点のリードを1点差まで追い上げられたが、なんとか逃げ切った。
ベンチ入りは11人。1年夏からエースを務めてきた田淵は、左ふくらはぎがつりそうになりながらも我慢の力投。ほかにも足を痛めた選手が複数いたが、9人で戦い抜いた。指揮官は「五回仕様なので」と体力不足を痛感したが、田淵主将は「最後は気合でした」とナインを代弁した。
待ちに待った白星。ところが、整列の順番もぎこちなく、田淵主将は「勝った喜びで忘れちゃうくらい」と、ナインは校歌が流れても歌わずに聞き入った。次の勝利の時こそ、しっかりと全員で校歌を歌い上げる。