近藤1000安打まであと「1」 999安打目は3連勝を呼び込む決勝二塁打
■日本ハム3-2オリックス(7日、札幌ドーム)
金子コーチの助言で復調の兆しつかんだ
最高の形で、快記録に王手をかけた。2―2で迎えた七回1死二塁。「3番・中堅」で先発した近藤健介外野手(29)が右翼フェンス直撃の決勝二塁打を放ち、チームを3連勝に導いた。
切れ味抜群の一振りだった。カウント1―1からオリックス・吉田凌の142キロ直球を振り抜いた瞬間、打球が外野の頭を越えることを確信した。「ここ最近、チャンスで凡退が続いていたので、打球うんぬんより、ヒットになって良かったと思います」と安堵の表情を見せた。
新庄監督、そして現役時代に同じ「8」の番号を背負っていた金子野手総合兼打撃コーチの助言を生かした。「姿勢が猫背になっていると指摘してもらった。ボールとの距離がなかなか、つかめなかったので、反応で引っ張れたというのは良かった」と復調の兆しをつかんだ。
6日から始まった「FIGHTERS CLASSIC」では、登場曲を金子コーチが現役時代に使用していたダニエル・パウターの「Bad Day」に変更。「現役もかぶっていますし、普段の打撃指導の恩返しだったり、そういう思いを込めて使っています」と感謝の気持ちを形にした。
今季はここまで打率.295の数字を残しているが、良い状態が長く続かず、試行錯誤の日々だ。右内腹斜筋肉離れから復帰した7月上旬には、投手に対してうまくタイミングが合わず、足の上げ幅を小さくしたり、すり足でタイミングを取ることもあった。後半戦に入ってからはバットも変更するなど、何とか結果につなげようと、妥協することなく取り組んでいる。
「結果が全てなので。結果につながるように毎日しっかり準備していかないといけないですし、しっくりこない中で探りながらやらないといけない。そこは今もそういう状態ですけど、何とか1本出て良かった」
「へそで打つ」感覚重視 得意のゴルフでスイングイメージ
そういった微調整も打撃の軸がしっかりしているからこそ、なせる技だ。近藤は「へそで打つ」感覚を重要視する。へそを地面に向けたまま、スイングに入っていくことで、前傾姿勢になり、自然と打球に角度をつけることができる。得意としているゴルフのスイングイメージだ。「へそが下を向いていたら、右足のステップはどう着いてもいい」と言い切る。
そして右足が着いた時には、もうすでにスイングが始動しているという。そうしないと「ストレートは打てない」と近藤。さらに、左足のかかとで地面を強く蹴ることにも意識を置く。「かかとで地面を感じられれば、(体の)内側から回れている」。この打撃技術だけではなく、これまで地道に体幹を鍛え上げ、体に1本の棒を通したような軸回転の打撃を身に付けた。
「まだまだ通過点」 さらなる高み目指し精進誓う
1000安打に王手をかけた。「入った頃は、まさかこんな数字を積み重ねられるとは思っていなかった」と話したが、「2000本とかではないのでそんなに(考えていない)。999本目を打った時には全然(王手と)思ってなくて、裏に帰って言われたくらい」。安打製造機にとっては、目標としている数字ではない。
1000を超えた先には、1500安打、2000安打がある。「まだまだ通過点の数字だと思いますし、もっともっと高みを目指してこれから精進したい」。打撃職人として、究極の答えを探していく。