近藤が〝師匠〟西武・栗山の前で通算1000安打 延長十回には決勝弾も
■日本ハム2-1西武(10日、ベルーナドーム)
まさに千両役者だ! 日本ハムの近藤健介外野手(29)が10日、敵地・ベルーナドームで行われた西武戦でプロ野球通算314人目となる1000安打を達成した。一回に右前打を放ち、大台に到達させると、その後も快音を響かせた。0―0の八回には1死一塁で右中間を破る先制二塁打をマーク。同点とされた直後の十回には勝ち越しの7号ソロを右翼スタンドに叩き込んだ。近藤の全打点を挙げる活躍で、チームは延長十回の末に2―1で勝利した。
印象に残る2012年プロ初安打「1本目のレフト前ですかね」
節目の一本を放つと、呪縛から解き放たれたように好打を重ねた。近藤が1000安打に到達すると、その勢いのまま、先制打と決勝本塁打で2打点を挙げた。
まずは、いきなり決めた。一回1死一塁、西武の先発・松本から右前打をマーク。一塁ベース上で杉谷から記念ボードを受け取り、拍手に応えた。記念すべきプロ初安打は2012年7月27日のオリックス戦で寺原から放った左前打。「(印象に残る安打は)1本目のレフト前ですかね」と懐かしそうに振り返った。
歴史に名を刻んだ安打製造機は、これだけで終わらなかった。0―0で迎えた八回には1死一塁から、先制の適時二塁打。そして同点で迎えた延長十回だった。2死から右翼席への決勝ソロ。高い打撃技術を余すことなく披露した一日となった。
原点は仁志・二岡の巨人二遊間コンビ「かっこよくて、動きに憧れていた」
近藤の原点は憧れの2人にあった。センス抜群だった近藤少年は、巨人時代の仁志敏久氏(現DeNA2軍監督)と二岡智宏氏(現巨人2軍監督)の二遊間コンビに羨望(せんぼう)のまなざしを送っていた。
少年野球時代のグラブは「かっこよくて、動きに憧れていた」という仁志モデルを使用。そして日本ハムに入団すると、チームに二岡氏がいた。「二岡さんがファイターズにいたのは感激した」と当時の感動は今でも鮮明に刻まれている。
プロ入り後は自分の道を示してくれた〝師匠〟がいた。新人の時は「プロのバッティングピッチャーを打つのを練習しないとな、と思ったくらい」。レベルの高さに戸惑いを感じていた。
通算打率.307 まだまだ通過点
そんな中、他球団で活躍する選手に目指すべき打者がいた。昨シーズン2000安打を記録した西武の栗山と、昨季限りで引退したソフトバンクの長谷川打撃コーチだ。ともに選球眼に優れる左打者で、今の近藤と重なる部分が多い。その恩人の一人の前で、快挙を達成できた。
「僕が入った時に、ばりばりレギュラーで。職人というか、打つべくして打てている形。それをまねしたいと(栗山に)話を聞いた。もちろん今でも悩みだったりは相談しながらやっています」
通算打率.307を誇る近藤にとって、1000安打は通過点でしかない。さらなる高みへ、また安打を積み重ねていく。