ファイターズ
2021/09/28 13:44

≪連載手記・逍遥6≫ 大台到達の西武・栗山&阪神・糸井 「本当にリスペクトできる」

フリー打撃後、稲葉侍ジャパン元監督と話す西川=21年9月10日・ソフトバンク戦、札幌ドーム

 メモリアルな先輩たちから刺激をもらった―。 日本ハムの西川遥輝外野手(29)が、連載手記「逍遥(しょうよう)」で、同じ外野手で親交の深い先輩2人の大記録をたたえた。西武の栗山巧外野手(38)は通算2000安打、元日本ハムで阪神の糸井嘉男外野手(40)は通算300盗塁を今月に達成した。多くのことを参考にしてきた先輩に負けじと、西川がシーズン残り1カ月のラストスパートをかける。

栗山2000安打に「自分には想像できない」数字

 西武の栗山選手が今月4日の楽天戦で2000安打を達成しました。僕は昨年に半分の1000安打に到達して、今は1215安打(27日時点)です。大台まであと800本を切りましたが、自分では達成することが全然、想像できないです。
 まだ自分が20代前半の時は、栗山選手にバッティングのことをよく聞きに行ったりしていました。当時、僕が思いつく良い左バッターといえば栗山選手でした。その時の僕は三振が多くて、四球で出塁することが多くなかったのですが、栗山選手は三振よりも四球が多かったんです。三振が四球に変わればチームのためにもなるし、ぜひ参考にしたいと思って本人に直接聞きに行きました。

打てなくてもしょうがない…開き直りを学んだ

 それと自分は元ソフトバンクの変則左腕、森福さんを打てなかったのですが、「真剣に打とうとすんな。俺ら左バッターを抑えるために彼らは頑張っているんやから、そう簡単には打てるはずがない」という、アドバイスをもらいました。
 相手は横から投げて、さらに独特な癖もそれぞれにあるので、逆に打てなくてもしょうがないと開き直りを持った方が、打てなかった時も、その後に引きずらないんです。今でも変則左腕と対戦する時は、そういう気持ちで挑みます。
 そう考えるようになったら、そこで抑えられても、その後の対戦が嫌だとは別に思わなくなりました。苦手意識を持っても、いいことはないんです。栗山選手には、そういうことを教えてもらいましたね。敵チームですけど本当にリスペクトすることが多くありました。

300盗塁の糸井には「頑張っていたことが大きな刺激」

 阪神の糸井選手は今月11日の広島戦で300盗塁を達成しました。僕も達成しましたが、その数字はあまり意識していなかったんです。それでも糸井選手が頑張っていたことは、自分の中でも大きな刺激になりました。
 僕が達成した時は糸井選手から連絡が来ました。記念ボードを渡してくれた女性の方を写真に撮って「300盗塁おめでとう」と。「そっちじゃないです」って返しました。さすがですよね。でも、うれしかったです。

後輩の俊足・宮田には盗塁を伝授


 チームでは、俊足の宮田が支配下登録されました。何かしらのスペシャリストがいるのは大きいですね。同じ車をいっぱい持っていても魅力はないです。たとえば車が9台あったら、スポーツカーや大きい車があって、荷物を運べるようなトラックがあって、電気自動車があってと、何かしらの特殊技能をたくさん持っているチームの方が、実は強いと思います。

 宮田は自分に盗塁のことをよく聞きに来ます。基本的には、構えとスタートの話をしています。僕も昔は稲葉さんや先輩たちにバッティングの事を聞いていましたね。

打撃の状態は山あり谷あり

 自分の方は最近、ヒットは出るようになってきましたが、なかなか長く続かなくて…。山あり谷ありです。でも、打席内での感覚は良くなってきています。ボールに対してうまく粘れるようにもなって、相手に球数は多く投げさせているな、とは思います。でも、たまには早いカウントでも打たないといけないですね。それはその都度、しっかりとやっていきます。
 シーズン終了まで、あと1カ月を切りました。まだ上に行ける可能性はありますし、全力で頑張りますので、最後まで応援をよろしくお願いいたします。(西川遥輝)

 ■今季は現在19盗塁 トップと5打差

 通算300盗塁には、西川も8月27日の西武戦で達成した。今では現役最多の306盗塁まで伸ばしている。「減らない数字なので、増えていくだけやから、うれしい」と、前向きにこの記録を積み上げてきた。
 ソフトバンク・周東、ロッテ・和田といった球界の“韋駄天(いだてん)”が出現してきたことにより、盗塁が改めて脚光を浴びている。彼らと比較すると、西川は「僕は足が飛び抜けて速いわけじゃない」と謙遜する。「彼らはスタートが遅くても足の速さで巻き返せる。僕はもう判断力だったり、スタート勝負なので」と、自らは経験こそが武器なのだという。
 今季はこれまで19盗塁をマーク。ランキングでは24盗塁で首位の西武・源田、ロッテ・和田を5差で追っている。最終盤、日本ハムが誇る韋駄天がどんな数字を残すのか、意地の猛追に注目だ。

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい