谷内「この感触、すっかり忘れてました」 6年ぶり一発は移籍後初本塁打
■日本ハム6-3オリックス(16日、京セラドーム)
「何か恥ずかしい気持ちで走ってました」とダイヤモンド1周
「この感触、すっかり忘れてました」―。「7番・二塁」で先発した谷内亮太内野手(31)が、移籍4年目で初本塁打となる今季1号ソロを放ち、チームの勝利に貢献した。
久しぶりの手応えが両手に残ったのは、八回だった。先頭の谷内がオリックス・吉田凌のスライダーを捉えた。「行ってくれー!」と、思いを乗せた打球は文句なしの一発となった。ヤクルト時代の2016年以来となるアーチに「どれぐらいのスピードで走ったらいいかもわかんないし、何か恥ずかしい気持ちで走ってました」とはにかんだ。
ぶれないプレースタイルが、キャリアハイの成績につながっている。新庄監督が就任した今季、「野球を楽しむ」という大きなテーマが掲げられた。選手もビッグボスの言動に感化され、春季キャンプから生き生きとした表情が目立っていた。しかし、谷内の考えは少し違った。
2軍キャンプを行っていた沖縄・国頭で汗を流していたベテランは「何かワクワクして野球に取り組めるような、雰囲気はあると思う」と話した上で「楽しむっていうのは、ただ笑って野球をやることではないって僕は解釈している」と言い切った。そして「試合で本当に楽しむための練習、準備っていうところを大事にしなきゃいけないのかなって感じてます」と続けた。
その言葉通り、試合に向けて、あらゆるポジションで黙々と準備する姿は昨季までと変わらなかった。「目の前の練習を一生懸命やることが、チームのいい雰囲気をつくっていく一つの方法」と、いついかなる時でも練習をおろそかにすることはない。
「体の準備と心の準備のバランスがいい」
守備はもちろん、打撃も一緒だ。「自分の調子を上げることが第一ですけど、それプラス、打席を重ねるごとに相手バッテリーもいろんな配球をしてくると思います」と、頭の中を整理しながら試合に臨んでいる。「体の準備と心の準備と、そういうところのバランスが今はいいのかな」と好調の要因を分析する。
打率.281、得点圏打率.476という数字を残すが、「もったいないエラーとかが自分の中で出てきてしまっている」と反省する部分もある。この日も失策を犯すなど、今季は3失策を記録している。「もちろん集中してますし、いろいろ想定しながら守ってはいるんですけど、疲れであったりとか、自分が思っているように体が動いていない」と、スタメン出場が増えている中で今までにない疲労感を感じているのも事実だ。
試合後は入念なケアも行っており、「トレーナーさんのおかげで何とか毎日スタメンで出ている」と感謝した。来季のレギュラー獲りへ、この大きな好機を逃すわけにはいかない。「野球選手として、頭から出られるっていうのはすごく幸せなこと。幸せを感じながらやりたい」。残り11試合、この勢いのまま駆け抜けてみせる。