今川が自身初の10号到達「ファンの力ってあるんだな」超満員札幌ドームで夢叶えた
■日本ハム5-4ロッテ(17日、札幌ドーム)
家族全員応援の前で決めた「夢が叶って、感無量です」
選手兼ファンクラブ会員の今川優馬外野手(25)にとって、一生忘れられない日となった。超満員4万1138人の前で自身初の2桁本塁打に到達し、九回には右前打を放ってサヨナラの生還。家族全員が応援に駆け付ける中、北海道移転後の初代ユニホームに身を包んでお立ち台へ。札幌市出身の道産子は「コロナ禍になって、満員の札幌ドームでできることないかなと思っていた。夢が叶って、感無量です」と声を震わせた。
手応えは完璧ではなかったが、ファンの声援がスタンドに運んでくれた。1点リードの六回、ロッテ先発・二木の初球を捉え、左中間へ貴重な追加点となるソロ本塁打を放った。8月11日の西武戦以来となる一発に「本当にファンの力ってあるんだなって、改めて思わせてくれました」と感謝した。
七回にはスクイズ失敗と悔しいミスもあったが、同点となった九回には1死から右前に運んでチャンスメーク。両手を突き上げて、サヨナラの生還を果たした。
子供の頃に見た憧れの舞台で夢実現「涙こぼれそうでした」
新庄監督らが活躍し、北海道移転後初の日本一に輝いた2006年。当時小学生だった今川は、父の運転する車で札幌ドームに月1、2回ほど通っていた。「ファンクラブ会員の小学生は無料で入れるので、外野自由席が多かったですね。なるべく早く行って、いい席を狙っていました」としみじみ振り返る。
グラウンドで躍動する選手たちに「満員の中でホームランを打ったら気持ち良いんだろうな」。外野スタンドで羨望のまなざしを送っていた少年は、プロ入りを果たし、その夢を実現。「(ダイヤモンドを)1周している間に涙、こぼれそうでした。本当、危なかった」と感極まった。
レジェンド集結に感激「打席に立ちたかった」
この日は試合前から興奮しっぱなしだった。トレイ・ヒルマン元監督が来場し、ビッグボスらレジェンドたちによる「メモリアルピッチセレモニー」が行われた。三塁ベンチで見守っていた今川は「めっちゃ感動して、ジーンとしました。打席に立ちたかったんですけど、ダメだった」と目をキラキラさせていた。
チームは一時逆転を許したが、粘りを見せてサヨナラ勝ちを収めた。「当時を、2006年が甦ったというか。どんな劣勢の場面でもひっくり返す力が、今のチームにも絶対あると思う。あの時のあの感動をもう一度、北海道の皆さんにお見せしたいです」。誰よりもチームを愛する男が、強いファイターズを取り戻す。