ファイターズ
上川畑が人生初サヨナラ打「つないでもらったチャンス。ムダにはできない」
■日本ハム5ー4ロッテ(17日、札幌ドーム)
ドラフト77番目の男が劇的な一打
支配下ラスト77番目の男が大仕事をやってのけた。九回2死二、三塁。ドラフト9位ルーキーの上川畑大悟内野手(25)がロッテの東條から人生初となるサヨナラ打を放った。一塁を回ると、大柄なチームメートたちに囲まれ、祝福された。身長167センチの小さな主役は、右手人さし指を突き上げ、笑顔で飛び跳ねた。
3年ぶり超満員となった札幌ドーム。元監督のヒルマン氏も訪れた「ファイターズクラシック」にふさわしい劇的幕切れだった。
八回にアルカンタラの2ランで追い付き、九回に最高のシチュエーションで打席が巡ってきた。3番でスタメン出場していた上川畑は「つないでもらったチャンス。ムダにはできない」と集中力を高めた。追い込まれてから、東條の148キロ直球に短く持ったバットを合わせた。「最後はスライダーが来るなと思っていたんですけど真っすぐが来て。無意識というか反応であそこに持っていけた」。読みが外れてもヒットゾーンに運ぶ技術が、日々の鍛錬で培われていた。
昨秋のドラフト会議では、支配下指名の最後に名前が呼ばれた。日本ハムにとって即戦力の二遊間は、優先順位の高い補強ポイントだった。スカウトの一人は「結婚が決まっていたのに、社会人の安定を捨ててプロで勝負すると。その覚悟、根性があれば、活躍できる」と内面の強さを買っていた。
評価うなぎ上りでも「基本に忠実なプレーを」
まさに掘り出し物だ。高い守備力を発揮しながら、打率は.286をマーク。レギュラー候補として新庄監督ら首脳陣の評価は急上昇している。ただ、上川畑に慢心はない。「派手なことができないタイプなので、堅実なプレーというか、丁寧な基本に忠実なプレーをやっていきたいと思います」。実直なオールドルーキーはプロでも地に足を付けて進んでいく。