ファイターズ
《岩本勉のガン流F論》 10勝への意識勝り、自身の投球出せていない
伊藤、慌てるな! 立ち上がりから高めに上ずる投球を見ていて、そう声をかけたくなった。
立ち上がりに連打と犠飛であっという間に1点を失い、二回は簡単に先頭を歩かせると、そこから4連打で3失点。現在のチーム状況を考えれば、序盤の痛手としては大きすぎた。
失点は防いだが三回から五回まで、常に走者を背負った。小気味よく3者凡退やポンポン三振を奪うリズムがない。2段モーションも五輪前のようなゆったりさが見えず、どこか急いでいるような感じが否めない。
投球の上ずりは打者をほくそ笑むような緩い球を投げ込むことで修正が可能。勇気を持って腕を振らなければ生み出せないボールであり、気持ちの強さやゆとりが必要となってくる。連勝街道を突っ走っていたとき、マウンドには打者が逆に力んでしまうぐらい、緩急多彩な組み立てを仕掛けていた新人右腕がいた。本人は否定すると思うが、現状では10勝への意識が勝り、自分自身の投球を出せていないと言わざるを得ない。
最下位のチームにあって規定投球回数に達し、貯金もつくっている。伊藤に対する評価は今後の投球で変わるはずはない。開き直って投げることも大いにありだ。自信を持って、次戦に挑め!(本紙評論家)