ファイターズ
2022/09/20 23:25

《岩本勉のガン流F論》完投へのこだわり 上沢の姿にエース像を見た

七回表2死一、二塁、柳田から三振を奪いほえる上沢

■日本ハム1-3ソフトバンク(20日、札幌ドーム)

100球を超えても投球に変化なし

 野球に携わるようになってから、ずっと「エースとは」を自問自答してきた。まさに永遠のテーマ。答えにたどり着くことはないのかもしれない。ただ、上沢の投球が「そういうことですね!」と、おぼろげながらもエース像を描かせてくれた。

 やはり完投。これ以上投げ続ければ、チームに迷惑がかかる。そういう状況になった時には降板するべきだ。または、させるべきだ。ただ、今回の上沢には誰もが「マウンドを降りたら迷惑がかかる」と思ったはずだ。敗れはしたが、それだけの内容を披露した。

 曲がり球、沈む球、落ちる球に動く球。実に総合バランスに秀でている。投球のコーディネートは変わらず見事だった。100球を超えても、一回と最終九回の投球に大きな変化が見られない。実際に九回は3者凡退。スキル面でも精神面でもエースという称号にふさわしいピッチャーだ。

 自分に納得したかったのだろうとも推測する。味方のエラーで1点を失った。ただ、その1点を差し引いても1―2。完投することで、潔く負けを認めることもできる。

 前日の加藤の完封も刺激になっていたはずだ。いずれにせよ、心の準備と腹のくくり方。完投へのこだわり。エースに必要な条件を、上沢は持っている。(本紙評論家)

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