ドラ1・達が3回1安打0封デビュー「全く緊張せず、自分のボールが投げられた」
■日本ハム0-6楽天(25日、札幌ドーム)
18歳とは思えないほど、落ち着いていた。期待の大型ドラ1・達孝太投手(18)が堂々のデビューだ。3四球などで毎回走者を背負ったが、先発で予定の3回を投げきり、1安打無失点。0奪三振を課題に挙げつつも、「もっと緊張するかなと思ったんですけど、全く緊張せずに、自分のボールが投げられた。しっかり来年に生かしていきたいです」と充実感をにじませた。
プロ1球目は147キロ直球
記念のプロ1球目は147キロの直球で、山崎を二ゴロに打ち取った。一回は2死から浅村、島内に連続四球。ピンチを招くも、続く辰己を中飛に仕留め切り抜けた。二、三回も冷静なマウンドさばきで、得点を許さず。この日最速は148キロを計測し、降板後にはビッグボスから「良いボールを投げていたね」と褒められた。ベンチで握手とグータッチを交わし、初々しい笑みがこぼれた。
日本ハムの北海道移転後、初の開幕戦が行われた2004年3月27日に生まれた。幼稚園の年長で、身長は130センチ超。「幼稚園児は電車が無料なのに改札が閉まったり、食べ放題に行ったら大人料金だったり」と、幼少期は嫌な思いもしたが、今は194センチから投げ下ろす直球が自他共に認める最大の武器だ。
新球習得へまずは独学で試行錯誤
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自ら考え、自ら動く。5月にはチェンジアップの習得を目指し、練習を開始した。チームメートには、同球種を得意とする沢村賞右腕・金子がいる。それでも「いきなり聞くのはちょっと違う」と、まずは独学で試投を繰り返した。
試行錯誤の結果、理想にはたどり着かなかった。失敗の経験を踏まえ、約1カ月後、金子に相談。ハイスピードカメラでリリースを撮影させてもらい、細部まで突き詰めて研究した。投球時の意識など金言も授かり「一気に感覚が来た」とコツを会得。現在は実戦で使わず「保存中」だというが、未来へ向けた引き出しを着実に増やしている。
8月には自己最速150キロを誇る球速のさらなる向上を目指し、憧れのデグロム(米大リーグ・メッツ)を参考にフォームを変更した。直後の2軍ロッテ戦で二回途中10失点と大炎上したが、「ダメでしたけど、やってみた価値はあった」と、へこたれない。「誰かのマネではなく、自分の体に合ったものを新たにつくった方がいいのかも」と探求を続けている。
目標は新球場の開幕投手とメジャー
目標はメジャー。プロ入り前から公言し「ビッグマウス」「おまえには無理」と言われても、自分の思いを大切にしてきた。「100人のうち1人でも自分の考えに沿ってくれる人がいるなら、それでいい」。負けず嫌いで、反骨心の塊だ。「自分の考えを持っているって、良い言い方をすればそうですけど、普通に言えば頑固ですね」とちゃめっ気たっぷりに笑った。
ドラフトで指名された直後から、2023年、新球場初の開幕投手を本気で狙っている。「来年は普通の開幕投手とは違う。きょうの成績で皆さんがどう思うか分からないですけど、心の底から来年の開幕投手をやりたいなと思っている。これからも目指して頑張りたい」。周りが「無理だ」と思おうが、関係ない。自分を信じる強い意志を持ち、夢に向かって真っすぐに突き進んでいく。