「制球王」加藤がシーズン与四球「11」でNPB最少記録を72年ぶり更新 規定投球回2年連続クリア
■日本ハム3-2楽天(26日、札幌ドーム)
快挙も淡々「ストライクゾーンにどんどん投げているんで、こんな感じかな」
「制球王」の名をほしいままにした。先発した加藤貴之投手(30)が楽天打線を相手に8回2失点と好投し、自己最多を更新する8勝目を記録した。
今季最後の登板で快挙も達成した。3回1/3を投げた時点で2年連続で規定投球回に到達。左腕にとっては珍しく2四球を与えたが、与四球「11」は、阪急の野口二郎が1950年に記録した「14」のシーズン最少記録を72年ぶりに更新した。ヒーローインタビューでは「本当、ストライクゾーンにどんどん投げているんで、こんな感じかな」と〝加藤節〟をさく裂させた。
持ち前の制球力を存分に発揮したのは七回だ。先頭の鈴木大からフォークで見逃し三振を奪うと、続く茂木はチェンジアップで見逃し三振。最後も岡島を直球で見逃し三振に斬り、3者連続見逃し三振をマーク。全球種を巧みに制球できる加藤ならではの圧巻投球だった。
16年日本一貢献の裏でポストシーズンでの挫折「あの1年は満足できない」
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本拠地・札幌ドームでのラスト登板で歴史に名を刻んだ。プロ7年間を過ごしたこのマウンドには思い出が詰まっている。特にルーキーイヤーだった2016年には、天国と地獄を味わった。同年4月16日のロッテ戦でプロ初勝利を挙げ、第一歩を踏み出すと、1年目ながら即戦力左腕の評価にたがわぬ活躍を見せた。先発・中継ぎとフル回転し、リーグ優勝と日本一に貢献した。
しかし、同年のポストシーズンで挫折が待っていた。ソフトバンクとのクライマックス・シリーズ第5戦に先発したが、1回4失点でKOされた。広島との日本シリーズ第5戦でも先発のマウンドに上がったが、こちらも1回1/3を1失点で降板。ともにチームは逆転勝利したが、先発の役割を果たすことができなかった。
先発、中継ぎ、F流オープナー「いろいろなことをしたけど、良かった」
「1年間やって、最後の大事なところの結果があれ。あの1年は満足できない」と悔しさは消えない。「そこでしか借りを返せない。良い経験でしたけど、もう一回味わいたい。負けっ放しは嫌なので、やり返したい」と燃えていた。しかし、チームの低迷もあり、それ以降、ポストシーズンでの先発機会は訪れておらず、雪辱は来季以降に持ち越しとなる。
栗山前監督時代には「F流オープナー」など、多くの役割を担った。「いろいろなことをしましたけど、良かったと思います」と酸いも甘いも経験した札幌ドームでの登板を終えた。「変わらず、このままを維持して、でも来年また(成績が)同じになるか分からない。しっかりと練習して開幕ローテーションに入れるように頑張ります」。球史に名を残した精密機械。おごらない謙虚さも一つの持ち味だ。