BIGBOSSは今季限り―来季は新庄監督として「日本一だけ目指して、ブレずに」開幕投手には加藤をサプライズ発表
■日本ハム3-11ロッテ(28日、札幌ドーム)
ユニホームを脱ぐパフォーマンスに球場は一時騒然
大敗のショックもむなしさも明るく豪快に吹き飛した。新庄剛志監督(50)が4万1138人に向けたサプライズショーを披露し、札幌ドームラストゲームのフィナーレを飾った。退任をにおわせながらの続投表明と、史上最速とみられる来季開幕投手の発表。超豪華〝2本立て〟で、ファンの心をわしづかみにした。
試合はシナリオ通りに進まず、北海道への本拠地移転から19年間の歴史が詰まった球場で最後に勝利を飾れなかった。しかし、指揮官の頭の中で構築していたもう一つのシナリオは完結した。球場内を一周した後、球場全体が暗転。幻想的な雰囲気の中、静かに登場した指揮官が、訴えかけるように言葉を紡いだ。
「今年は悔しくて、悔しくて、たまりませんでした―」。まずは就任1年目のシーズンを振り返り、揺れ動いた感情を打ち明けた。そして断トツ最下位の結果を受け止め「監督、ビッグボスが悪いです。短い1年でしたけど、今シーズンをもってビッグボスのユニホームを脱ぎます。ありがとうございました」とあいさつ。ユニホームをそっとマウンドに置き、立ち去った。
試合直前に続投要請「指揮を執ってもいいですか?」ファンの前で続投受諾
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
球場はどよめいた。自然発生的に大きな拍手が起きた。〝アンコール〟に応えるように背中に「SHINJO」の文字が書かれたユニホームを着て、指揮官は再登場。28日の試合直前、球団社長から正式に続投要請を受けたことを明かし「エスコンフィールドで指揮を、執ってもいいですか?」とファンの信任を求めてから、締めに入った。
「来年の大事な開幕戦は左のエース、加藤投手に任せたいと思います。来年は2位も6位も一緒です。日本一だけを目指して、ブレずに戦っていきたいと思います」。シーズン全日程終了を待たず、異例の来季開幕投手公表。衝撃の展開を演出し、ド肝を抜いた。
来季も1年契約「2位だとしたら、本当に脱ぐ覚悟」
10日ほど前から、筋書きを練っていた。「『ビッグボス』のユニホームを脱ぐのはさみしさとかより、来年は真剣勝負。『新庄剛志』でいきたいなという気持ちがあるので。ビッグボスってちょっと、チャラけてません? 来年チャラけられないから」と強調。成長を求めたトライアウトから、結果が全てのシビアな戦いへシフト。その覚悟を行動で示した。
就任1年目と同様、来季も1年契約で勝負する意向だ。「来年2位だとしたら、本当に(ユニホームを)脱ぐ覚悟。それくらいの気持ちでやるんで」。現役時代から、根本は変わらない。安定よりも、いばらの道を選ぶのが信条。ファイターズの札幌ドーム元年にやってきて革命を起こしたカリスマは来季、新球場元年に奇跡の物語を描く。
(以下スピーチ全文)
今年は悔しくて、悔しくて、たまりませんでした。試合に勝てなかったから、悔しかったわけではありません。
目をギラギラして試合に臨んだ選手が、チャンスで打てなかったり、ピンチで打たれたり、その姿を見て、ものすごく悔しかったです。
開幕してから数カ月がたち、周りから「おまえのめちゃめちゃな考えで、めちゃくちゃな采配で選手をおもちゃにするな」「ファンは宝物と言っていながら勝つ気ねぇじゃねぇか」「ファンは勝ちが見たいんだ」「頼むからやめてくれ」「何であの選手を使わないんだ」「もうちょっと勉強しろ」。そういう毎日を過ごしました。でも選手を成長させるために1年間、ブレずにやり通しました。
しかし、結果はファンを悲しませたダントツ最下位です。この責任は監督、ビッグボスが悪いです。本当に本当に短い1年でしたけど、今シーズンをもってビッグボスのユニホームを脱ぎます。ありがとうございました。
(ユニホームを脱ぎ、マウンドに置き、退場)
(ファンから自然と拍手が沸き起こる)
「SHINJO」のユニホームを着て再度登場。
きょうの午後4時に川村(球団)社長から呼ばれ、希望でしかない、ファイターズの指揮を来年も執ってほしいと言われました。その返事は、まだしてません。まずはきょうここに来てくれているファンのみんなに聞きたいと思います。
来年、新庄剛志で、エスコンフィールドで、監督、指揮を、執ってもいいですか? たまに突拍子もないことをしてしまいますが、根はいいやつです。畑オーナー、川村社長、今、返事をします。よろしくお願いします。来年からエスコンフィールドに移動します。来年の大事な開幕戦は左のエース、加藤投手に任せたいと思います。来年は2位も6位も一緒です。日本一だけを目指して、ブレずに戦っていきたいと思います。皆さんついてきてください。きょうは本当にありがとうございました。札幌ドームありがとう!