《BIGBOSS VOICE》プロ野球を変えたくて、いろんな作戦をとって、かき回した
■日本ハム3-11ロッテ(28日、札幌ドーム)
―札幌ドームラストゲーム、お疲れさまでした
「今日は初回から、あまり集中できてなかったかなぁ…俺が。最後のセレモニーが気になって、途中からああいうゲームになったから、もうそっちに切り替えて。申し訳なかったですね。今日は、最後の最後で本当に面白い試合を見せたかったんですけど…。それも僕のせいで。全てはね」
―札幌ドームが最後という実感は?
「2006年の日本一になった時のシーンをすごく思い出したというか。そのイメージを来年のエスコンフィールドに持っていこうというのは、思いましたね」
―現役時代から含めて、札幌ドームってボスにとってどんな場所?
「甲子園からアメリカの球場、で、札幌ドーム。もう野球人生の中で、ファイターズの時が一番面白かったんですよね。ファイターズの記憶しかないというくらい、すごい自由にさせてもらった。その、自由にさせてもらっている分、何か恩返ししたいなという気持ちでしたね。今も、監督として自由にやらせてもらっていて、そういう同じような気持ちでやっていますね」
「3年ぶりの100万人突破はうれしかった」
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―具体的に選手時代など、札幌ドームの思い出で甦ることは?
「まずは、札幌ドームで入団会見をさせてもらって、2004年。周りを見渡した時に『うーわ、こんな広い球場を満員にしたいな』というのと同時に『満員にできるのかな?』って。ファイターズの選手たち、去年は東京ドームでファイターズ対どこどこの試合は何人くらい入ってたの? って聞いたら、1000人も入ってなかったですね、って聞いたときに大丈夫か? と思って。北海道は巨人ファンが95%。阪神時代から、北海道は巨人ファンていう(印象)。何とかこの巨人ファンを、ファイターズファンに持って来られたら満員にできると思って。結局1年目から満員にさせられたというか…あの時の自信は凄く大きな自信につながりましたね。今年ね、3年ぶりだっけ? 100万人突破。100万人突破は何年前にしたのっていうことを聞いたら、3年前ということで。とにかく球団の方たちにお願いというか、もう一回、野球の楽しさを分からせてほしい。球場を満員にさせてほしい、ということと、やっぱりチームを強くしてほしいということ。そういった意味では3年ぶりの100万人突破はうれしかった」
―選手としても札幌ドームを満員にし、監督としても満員にした
「今季何回目? 2回目か。来年は最低でも20回は。そのためにはね、チームが勝っていないと球場に足を運べないと思うので。開幕から気合入れて。開幕から30試合が本当の勝負だと思うので。今年、ソフトバンクの開幕戦から惜しい試合が凄く多かったんですよ。その惜しい試合が30試合、40試合あったんですけど、その半分でも勝てるチャンスがあった。来年はそのチャンスをしっかりモノにすればおのずと上の方にいるので。そこに行けたら行くし。今年1年で土台はできたので。楽しみにしていますね」
「『ユニホームを脱ぎます』って言った時『えー?!』って言って!と思いました(笑)」
―満員のファンの前でセレモニー
「『BIGBOSSのユニホームを脱ぎます』って言った時、『えー?!』って言って! と思いました(笑い)。あれ? そうでもないの? って。さぁ、考えていたことを切り替えないといけないなって。慌てて切り替えました」
ビッグボスの呼び名「意外とね、恥ずかしかったんですよ」
―2006年ぶりにSHINJOのユニに。気持ちは
「引き締まりますよ。ね。新庄監督…。意外とね、恥ずかしかったんですよ。リクエストの時。ビッグボスからリクエストがありますって。恥ずかしいやん、やめてやって感じでしたからね(笑い)。来年から『新庄監督から―』ってなるから。ちょっとくすっと笑ってたでしょ、皆さんも。最後の方は慣れていたけど」
―続投も発表した
「今日ね、川村社長と『来年よろしくお願いします』ということを言われて、『ちょっと待ってください、みんなに確認取りたいです』と。で、みんなに確認とったらワーッて言ってくれたので、安心しました。あそこで『おつかれさーん!』って言われたら『ストーップ、ストーップ、ストップ! 思ってたんとちゃう!』と言おうと思って(笑い)」
―その後には来季の開幕投手も発表がありました
「そりゃもう加藤君以外に考えられないでしょう」
―いつくらいから
「早めに言っていましたよ、加藤君に。『うそでしょー』って言われた。『マジっすか』って。『マジっすよ』って言ったの。『やります』って。でも最後の方はグッと引き締まった顔をして、『やります!』って言う顔をしていました」
―競わせるところも今シーズンあった
「来年はない。もうある程度、固定のメンバーは頭の中に。この固定のメンバーに入れなかった選手っていうのは、自分の実力がなかった。こういう世界なので。来年のオーダーをちょっと楽しみにしておいてもらえたら、うれしいなと思います」
「選手が失敗して落ち込まないか、っていう怖さあった」
―選手ではなく監督として見たプロ野球はどうだったか
「プロ野球を変えたいという意味で、いろんな作戦をとって、かき回したというか。でも、藤本監督からは『いやー、本当に参考にさせてもらっているよ』という声もいただいたし、甲子園での試合、スクイズからエンドラン。あれを見た矢野監督も『昔の自分を思い出させてくれた』とテレビでも言ってくれていた。失敗して点が入らなかったら怖い、のではなく、そのプレーに対して、選手が失敗して落ち込まないか、っていう、その怖さの方が凄くあって。でも、それを失敗したとき、僕すぐ代えるじゃないですか。それは選手に成長してほしいし大きくなってほしいから。そういうところはきつく。小技ができる選手もいますよ、っていう意味で、そういうときが一番辛かったし、次に同じサインを出すんですけど、それで成功するっていう。この間、細川君をスクイズ(失敗)で代えたじゃないですか。ベンチ裏で泣いてました。涙を見せる選手が今年は凄く多くて、もちろん2軍に行ってもらうときも泣いていたし、それだけ真剣に野球に取り組んで、何とかモノにするんだ、レギュラーを獲るんだ、っていう、このマウンドを俺は他のピッチャーに譲らない、っていう。その1番の筆頭になったのが松本(剛)くん。キャンプ最終日に若い選手を見たいし、2軍に行ってくれと。で、泣いて、その涙を見たときに。この涙は必ずプラスになると。ソフトバンクの試合の開幕の前の日に呼んで、4番でいくぞ、と。だから松本くんは自分は2打席が勝負なんだ。2打席、3打席目に打てなかったらレギュラーを外されると。あれだけ打ってて、3割5分打ってる選手ですらそういう気持ちになる。感動しましたね。涙を見るたびに感動していました」
―シーズン通して松本剛の変化もあった
「一生懸命やってました。キャンプの時から今日まで全く同じ練習をしてました。それは凄いこと。もっと打ちたいから変えたくなるんですよ、選手っていうのは。常に一緒のタイミングで、バッティング練習から真剣に。1回崩れたらバッターってすぐ調子が崩れてしまう。それがなかったですよね、松本くんは。骨折してからちょっと間があいて、どうなるかなって心配していたけど、それはもう、キャンプからずっとやってきた積み重ねが、筋肉が覚えて、脳が覚えてて、それをしっかり取り戻すだけっていうね。練習っていうのはもの凄く大事なことだな、って思いました。本当に(首位打者を)取らせたい。これで7人のうちの松本君と加藤君がね、タレントの1人になったでしょう」
―今年は開幕投手に北山。ルーキーたちも非常に多く使った
「全員使いましたからね。全員1軍の舞台に立たせるっていうふうに言って、僕はブレないので。本当にチャンスをあれだけ与えて、ものにできなかった選手というのはね。清宮君に僕が2割2分以外はレギュラーじゃないっていったら、ガンガン打ち始めて」
―ご自身が選手としてっていうのは?
「いや…(失笑)。あの、サードコーチャーに立とうかなと思ったんですけど、五十肩で肩が回らない、ランナー回せないっていう。そんな僕が選手に戻ることはないです」
新球場での清宮に「めちゃくちゃ期待している」
―1年間、選手は宝物と
「『ファンは宝物』っていう意味は、先のことを考えてファンのために今、しっかり土台を作って、この先に『ファンは宝物だ』って言うところを見せたいですね」
―契約は1年ごとに
「そうですね。契約の話はまだ」
―清宮は2割2分にのせて、最終戦も出るのか
「来年の球場は右中間が一番狭いじゃないですか。それがフェン直じゃなく、入ることで打率も上がるんじゃないですか。そういう意味ではめちゃくちゃ期待している。いろいろ、また、まとめて。僕の中では考えは決まっているので」
―松本剛は最終戦に出るか
「どうだろう。もういいんじゃないかな。あまりね。本当にまだ治っていないですからね」