【西川薫】節目の秋、熱戦に注目 札幌円山球場のセンバツ争いは今年が最後の可能性も
来秋から舞台は札幌ドームへ
節目を迎える戦いが始まります。秋季全道高校野球大会が9月30日に札幌円山と札幌麻生で開幕します。29日に行われた開会式では、帯農の干場雄心主将(2年)が「どんな困難も仲間と励まし合い、この日を迎えることができました。勇気と感動、笑顔を届けられるよう、高校生にしかできない精いっぱいのプレーで恩返しをするとともに、引退した3年生の思いを継承し、全身全霊でプレーすることを誓います」と、力強く選手宣誓しました。
札幌円山での決勝戦は今年で最後となる可能性が高まっています。8月29日、道高野連と札幌ドームは、来年の秋季全道大会を札幌ドームで開催することを発表しました。プロ野球・日本ハムが来春、本拠地を札幌ドームから北広島に建設中のエスコンフィールドへ移転することに伴っての発表でした。
球場施設の老朽化も一因に
加えて札幌市は、現在東区にあるモエレ沼公園内の軟式球場を硬式野球の公式戦が開催できるようにリニューアル中。2025年春の開場を目指して改修工事を行っています。工事が完了すれば、施設が老朽化した札幌麻生を25年度に、札幌円山を26年度に順次改修する計画を立てています。雨や日没を気にせず、大会日程を消化できる事が札幌ドーム開催の大きな目的です。工事期間中は、札幌市内の球場利用に制限がかかるという理由も重なり、道高野連は24年以降の秋季全道大会も札幌ドームで開催する方向で調整を進めています。
札幌円山球場は、1934年に札幌神社外苑球場として竣工(しゅんこう)。秋季大会としては、1970年(昭和45年)に札幌支部大会が初開催されました(中島球場と併催)。そして75年の第28回大会に、初めて秋季全道大会を開催(中島球場と併催。決勝は札幌円山)。76年には秋季全道を札幌円山で単独開催。以降、記念大会を道内の他球場で開催となったこともありましたが、札幌円山は平成、令和とセンバツ切符をかけた戦いのメイン球場として、数々のドラマの舞台となりました。48歳になる記者の現役時代も、メイン球場は札幌円山。3年間ずっとスタンド組でしたが、淡い思い出は、つい昨日の事のように感じられます。個人的には野球は屋外派なので、札幌ドームで高校野球を開催するのは正直複雑な思いです。それでも運営の現場を考えると致し方ないのでしょう。
さらに来夏は、南北・北海道大会の準決勝と決勝が、北広島のエスコンフィールドで開催されます。現役球児たちは、道内高校球史に間違いなく刻まれる1年を過ごします。時代の移り変わりを感じる2022年秋。出場20校で争う優勝旗を、どのチームが手にするのか。熱戦の火ぶたは、まもなく切られます。