《2022新庄式を解く①》「個」の成長から「チーム」の成長へ
新庄剛志監督(50)の就任1年目シーズンが幕を閉じた。低迷する日本ハムの再建を託された〝ビッグボス〟は常識を覆し、戦力把握と個々の成長を最優先に「トライアウト」を終えた。2023年に優勝するための布石は打った。果たして改革の1年は実を結ぶのか―。本紙取材班が4つのテーマに沿って“新庄式”をひもとく。第1回は野手編。
1年間のトライアウトが終了 清宮、松本剛らが飛躍
1年間に及ぶトライアウトは終わった。今季は新庄監督の「全員1回は1軍に」という公約もあり、支配下登録されている全選手が1軍出場を果たした。
高卒5年目の清宮は初めて規定打席に到達し、自己最多を更新する18本塁打をマーク。そして新庄監督の下、大きく飛躍したのは11年目の松本剛だ。途中、左膝骨折のアクシデントもあったが、打率.347で球団初となる右打者でのリーグ首位打者に輝いた。
来季は勝負の年 勝つための「役割」の再認識が必要
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一方で、指揮官のお眼鏡にかなう選手が多くなかったのも事実だ。来季からレギュラーを固定し、勝ちにいくことを公言済み。ペナントレース終了後には「今年と同じ練習をしていたら同じ成績にしかならない」と奮起を促した。
己を知ることが大事になる。シーズン中、金子野手総合兼打撃コーチは「出塁するタイプ、つなぐタイプ、(走者を)返すのが得意なタイプ、一振りに懸けるタイプ、そういうのが交ざって打線になる。まず試合を動かすためにどう工夫をするか」と熱っぽく語った。そして「四球の出塁は試合で大きいんだよ。そういうことを知ってほしい」と例を挙げた。
栗山前監督の時代から中核を担ってきた近藤も「今年はその役割がなかった。ただ試合に出て、自分の能力を伸ばす。(来季に向け、それぞれが)早く自分の役割、チームがいかに勝つかを考えなくてはいけない」と注文を付けた。
また、86失策は12球団でワーストタイだった。来季から本拠地となる「エスコンフィールド北海道」は天然芝で外野の形も左右非対称。守備の難易度も上がりそうだ。新庄監督は守備を重視するだけに、ディフェンス能力の向上も大きな課題となる。この1年があって良かった―。そう言い切れるかは、来季の結果次第だ。