《2022新庄式を解く④》魅せる野球を信条に 斬新な戦術、起用法貫いたBIGBOSS
「ビッグボス」演じきる「意外とね、恥ずかしかった」
少しだけ、肩すかしを食らうような感覚に陥った。新庄監督が9月28日のホーム最終戦で、1年間演じきった「ビッグボス」に別れを告げた。取材する側としては当初、気恥ずかしく、戸惑いもあったが、ようやく「ボス」と呼ぶことに慣れてきたところだった。
ビッグボスはいつも堂々としていた。だから、シーズン終了間際の種明かしは衝撃があった。「意外とね、恥ずかしかったんですよ。リクエストの時。(場内アナウンスで)『ビッグボスからリクエストがあります』と。恥ずかしいやん、やめてや、という感じでしたからね。クスッと笑っていたでしょ、皆さんも」。ファンや選手の心をつかむために、あえてコミカルな役にも挑戦していた。
来季もたくさんの〝ドッキリ〟に期待
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賛否両論を巻き起こしながら、斬新な戦術、選手起用やパフォーマンスでスポットライトを浴び続けた。影響力はグラウンド内にとどまらなかった。独自の発想と失敗を恐れない行動力を持ち合わせていた。
昨年末、初めて新しいユニホームに袖を通した。伸縮性や通気性が確認ポイントだったが、新庄監督の視点は違った。球団スタッフに「ユニホームに肩パッドを付けられないか」と尋ねた。それも、取り外し可能なタイプではなく、一体型を求めたという。当然、既製品はない。時間的な制約もあり、製作は実現しなかったが、現役時代と同じくシルエットに強くこだわった。
プロの世界、いろんな監督像があっていい。周囲を驚かせることが大好きなアイデアマンの新庄監督にとって、非常識はきっと褒め言葉だ。来季、ボスを卒業しても、ファンが喜ぶたくさんの〝ドッキリ〟を仕掛けるはず。いつも格好良く、野球の全てを楽しみながら頂点へ駆け上がる―。物語の続きが、今から待ち遠しい。(この連載は日本ハム取材班が担当しました)