《10・20 指名待つ道産子》③山保健太郎遊撃手(樽商大)
20日に行われるプロ野球ドラフト会議に向けた連載「指名待つ」の最終回は、今年になって打撃が開花した道産子大型スラッガー・山保健太郎遊撃手を紹介する。樽商大に所属する195センチの左打者で、今夏の甲子園に出場した山保亮太投手兼外野手の兄だ。
全国経験なし、各球団へアピール映像送付
大学卒業後には、社会人野球のウイン北広島への加入と札幌の企業への就職が内定していたが、秋季大会終了後に知人に背中を押されて翻意。各方面に頭を下げ、わずかな可能性に懸けてプロ志望届を提出した。
旭明成高では特進クラスに在籍。野球では一塁手として高校通算33本塁打をマークした。しかし、1年春から3年夏まで8度の旭川支部予選出場中、実に5度、代表決定戦で敗れ、無名のまま高校野球を終えた。目指していた法大のセレクションには落選。当初は勉学を優先するために、国立の樽商大に進んだ。
国立大卒2人目のプロ入りへ「1%でも可能性あるなら」
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気持ちに変化があったのは大学3年の秋。「卒業後の進路を考えた時に、このまま野球を辞めるのは嫌だ」と体づくりに励んだ。さらに打球に角度をつけるため、ティーゲージを越えるような打球を目指して打ち込んだ。冬を越え、雪が解けると体重は8キロ増の98キロに。それまで公式戦0本だった本塁打は4年春と秋に3本ずつ飛び出した。「結果は出たかな」と今後も野球を続けられるという手応えをつかんだ。
秋のリーグ戦終了後、自身のアピール映像を各球団へ送付。事前にスカウトから注目を浴びていた存在ではないため、指名の可能性は限りなく低い。それでも後悔はしたくない。「1%でも可能性があるなら待ちたい。育成でも、野球漬けの環境に身を置きたい」と、道内の国立大からは2人目となる指名を待つ。
さまざまな思いを抱いた選手たちのドラマが交錯するプロ野球ドラフト会議は、20日午後5時から開かれる。
■プロフィール 山保健太郎 (さんぽ・けんたろう) 2000年11年17日、旭川市生まれ。父の転勤先だった宮城県石巻市の門脇小3年時に野球を始めたが、2011年3月11日に東日本大震災で被災。旭川へ戻ると、西御料地ファイターズで内野手と投手としてプレーした。中学軟式野球を経て、旭明成高では投手から一塁へ転向。1年春に背番号18でベンチ入り。全道大会を懸けた支部代表決定戦には5度進んだが全て敗退した。樽商大では4年春に札幌学生野球春季2部リーグのベストナインに選ばれた。195センチ、98キロ。右投げ左打ち。家族は両親と、今夏の甲子園に出場した旭大高3年の弟・亮太。