【ドラフト】1位日体大・矢沢が新庄監督から背番1奪う!「そのような選手になれるように」
背番号「1」を着けたい! 日本ハムは20日、プロ野球ドラフト会議で日体大の矢沢宏太投手(22)を公表通り1位指名した。他11球団と競合せず、3年連続で一本釣りに成功。二刀流を志す即戦力候補との交渉権を獲得した。矢沢は新庄剛志監督(50)が背負っている背番号「1」の後継者に名乗りを上げ、指揮官は「来年もし活躍したら」と条件付きでの譲渡を約束した。球団は育成を含めて10人を指名した。
母に「ありがとう」ボールをプレゼント
全球団の1位指名が終わると、緊張でこわばっていた顔から笑みがこぼれた。直後、母・香さんから花束を贈られ、矢沢はその場でボールに「ありがとう」と書いてお返しのプレゼント。香さんは何度も目頭を拭った。
「本当に小さい頃から聞いていたアナウンスで、自分が呼ばれるとは思ってもいなかった。すごくうれしく思います。一番近くでお世話になったお母さんに、ありがとうと伝えたいです」
記者会見では、堂々の1番奪取宣言も飛び出した。大学と同じ背番号1をプロでも着けたいか聞かれ、「はい、着けたいです。そのような選手になれるように」ときっぱり言い切った。
新庄監督も、その後の取材で即座に反応。「1、あげたいねー」と〝親心〟を見せつつ「ファイターズでも1を着けたいという選手が多い。活躍したら1番をあげるという約束をしているので」と一度は保留した。
新庄監督は条件提示「来年もし活躍したら渡します」
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思いが詰まった番号を譲り渡す条件は、ルーキーイヤーからの大活躍だ。「矢沢君が、まずは自分でポジションをつかんで、来年もし活躍したとしたら、もう渡します」と約束した。そして「僕と矢沢君が生まれた瞬間に、一緒のユニホームを着て野球をするという運命だったと思う」。新庄節をさく裂させ、新球場で共闘する日を心待ちにした。
二刀流で結びついた縁だ。他球団のスカウトには「(投打の)評価されている方で頑張ります」と伝えていたが、心の中は違った。「やっぱり、僕は小さい頃から、どっちもやる野球が当たり前。どちらかという選択は、嫌な部分はありました」。日本ハムは、プロでの二刀流挑戦を容認する方針。まさに、相思相愛だった。
「どっちもやるからにはお互いが保険の掛け合いにならないように、(投打とも)本気でやっていきたいと思っています」
亡き父に活躍誓う「見守っていてほしい」
天国のお父さんに、吉報を届けた。神奈川・藤嶺藤沢高3年時に指名漏れを経験し、その約2カ月後に父・明夫さんが心臓発作で急逝。誰よりも息子のプロ入りを楽しみにしていた。
「本当に喜んでくれていると思います。この場にいないこと、すごく残念ですけど、やっと夢がかないましたと(伝えたい)。これからが大事になってくる。見守っていてほしいなと思います」。両親から受けた愛情を胸に、夢の世界へ飛び込んでいく。
■プロフィール 矢沢 宏太 (やざわ・こうた) 2000年8月2日生まれ。東京都出身。左投げ左打ち。藤嶺藤沢高(神奈川)では1年秋からエースナンバーを背負う。3年夏に南神奈川大会8強。日体大に進学し、首都大学リーグで投打二刀流として活躍。2年秋には打率.368をマークし、ベストナインを受賞。3年春には5試合に登板し、3勝2敗、防御率0.90を記録した。3年秋には投手部門でベストナインに選出された。また、50メートル5秒台の俊足も大きな武器。173センチ、71キロ。