異例の引退試合 杉谷「幸せな瞬間だった」きらびやかなラストステージに大号泣
■日本代表強化試合 日本ハム4ー5日本(5日、東京ドーム)
侍戦士たちも胴上げの輪に
日本ハムが5日、東京ドームで侍ジャパンとの強化試合に臨んだ。今季限りの現役引退を表明していた杉谷拳士内野手(31)は七回に代打で登場。右飛に倒れたが、万雷の拍手を浴びて号泣した。最後は両軍の選手、コーチらに胴上げされ、14年間の現役生活に別れを告げた。試合は日本ハムが4―5で侍ジャパンに敗れた。
豪華できらびやかなラストステージだった。明るいキャラクターを生かして野球界の人気者になった杉谷が、日本ハムと侍ジャパンの選手、スタッフに体を支えられ、宙を舞った。
日本代表戦が引退試合となる異例の計らい。「本当に僕もびっくりした。歩んできた道が間違っていなかったと思える幸せな瞬間だった」と感慨に浸った。
出場直前に地上波中継終了「うわ、俺らしいな」
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代表の戦いに水を差さないよう先発出場の打診を固辞し、代打に懸けた。七回無死一塁。出番を告げられ、ネクストサークルに入った。このタイミングで地上波の中継がまさかの終了。「うわ、俺らしいな」と自嘲しながら、打席に向かった。
侍ジャパン2番手の高橋宏(中日)と勝負。150キロ前後の直球にフルスイングで対抗した。ファウルを続けた後、4球目の149キロに反応したが、右飛に終わった。チームメートに出迎えられ、ベンチに戻る時、スタンドの両親が視界に入った。涙が止まらなくなった。
熱く抱擁し、ねぎらった新庄監督は「14年で(安打を)288本しか打っていないですけど、愛される」と個性を称賛。さらに「これからドラフト会議、杉谷君のね。どこの事務所が取るか。石橋貴明さんはドラフト1位で取ると言っていた。間違いなく野球より稼げる才能があると思う」と引退後のキャリアに太鼓判を押した。
すぐに第2の人生が始まる。杉谷は6日からテレビに出演する予定で「まずは北海道、そして全国の皆さまに14年間、幸せな気持ちで野球ができたということを伝えていきたい」と力を込めた。日本ハムの元気印は、ユニホームを脱いでもファンを楽しませていく。