劇弾・青木で連勝締め 札幌がロスタイム決勝点で清水下し2年連続の10位で終了
■J1第34節 札幌4-3清水(5日、札幌ドーム)
今季3度目ロスタイム弾
2連勝締めだ! 北海道コンサドーレ札幌は、清水との今季最終戦をホームで迎え、4―3の逆転勝利。MF青木亮太(26)が今季3度目となる後半ロスタイム弾を決め、残留を争っていた清水に引導を渡した。けが人続出や自身の胃痛など、苦難のシーズンを乗り越えたミハイロ・ペトロビッチ監督(65)は、チームを2年連続の10位でフィニッシュさせた。
2度勝ち越し許すも「最後まで食らいついてやろう」
3点取られても4点取り返せばいい―。今季最多2万3330人のサポーターが、これぞミシャサッカーと言わんばかりのスペクタクルな一戦に酔いしれた。
前半41分にFWシャビエルのゴールで先制。1点リードで折り返した試合の流れは、後半から激流に変わった。残留のため勝利が絶対条件である清水の攻勢に押され、同4分、6分に連続失点。重苦しい雰囲気が漂ったが、同15分にMF荒野から絶妙なパスを受けた青木がシュートを流し込み、振り出しに戻した。
33分に再び勝ち越しを許すが、途中出場のFW金健熙が得点し、同41分に再び同点。同ロスタイム2分には青木が日本代表GK権田との1対1を冷静に決め、ついに乱打戦に終止符を打った。
青木はチーム最多8点目。今季はそのうち3点がロスタイムの劇的弾だ。「負けたくない、最後まで食らいついてやろうという気持ちが、良い形で出た」と胸を張った。
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主力の離脱相次ぎ残留争い ミシャ続投声明で反撃態勢
今季は主力が次々と長期離脱。けが人が復帰しても、すぐ違う選手が故障する負の連鎖が続いた。序盤は勝ちきれない試合が多く、一時は16位まで順位が落ちた。
5月中旬には守護神・GK菅野が負傷離脱。不在中に大量失点での3連敗を喫するなど低迷した。ペトロビッチ監督は心労からか胃痛に悩まされ、チームはそのまま残留争いに巻き込まれた。
第23節・名古屋戦(7月30日)から6戦で「勝ち点12を奪う」と掲げて奮起したが、ホーム4連戦最初の2試合でつまずき達成できず。サポーターから不満の声が広がると、クラブは8月28日に異例の声明を出し「ミシャと共に残りシーズンを戦っていきます」と監督の今季続投を宣言した。
それがカンフル剤となった。主力選手の戦列復帰や、途中加入したタイ代表MFスパチョーク、韓国代表FW金健熙の台頭もあり、そこからは徐々に反撃態勢に入った。
「来年は最高のシーズンに」今季最多観衆2万3330人に誓った
優勝した横浜Mに敵地で引き分け、2位の川崎には聖地・厚別で大逆転勝利。残留にリーチをかけた。その後に足踏みはあったが前節・広島戦に勝利し、6年連続のJ1残留を自力で決めた。
最終戦後、セレモニーでペトロビッチ監督は「来年は最高のシーズンにします」とサポーターに約束。18年の監督就任以来、攻撃的サッカーを札幌に植え付け、成長させてきた指揮官が、23年シーズンこそは大輪の花を咲かせてくれるはずだ。
三上GMが試合後にあいさつ「来年、いい景色を見ましょう」
試合後のセレモニーでは三上大勝取締役GMが今季最多2万3330人のサポーターへ向けてあいさつした。「1年間ありがとうございました。みなさんの力がクラブの力です。今年一年、いろいろな旅立ちがあり、苦難のシーズンだった。それを乗り越え、きょうを迎えることができました。これから、ありたいクラブ、ありたい姿に上り詰めたいと思っています。われわれクラブの力で来年、いい景色を見ましょう」と語りかけると、スタンドからは大きな拍手が沸き上がった。