《河合CRC竜の眼》ミシャサッカー体現するMF宮沢主将が残留決めた
J2降格を知る唯一の選手
J1残留を決めたアウェー広島戦(10月29日、○2―1)では、2012年のJ2降格を知る唯一の選手、MF宮沢主将が決勝点を決めてくれた。彼が決めたことはドラマだったし、クラブとしてもバンディエラとして頼もしく思う瞬間だった。
前半は低めに位置していたが、後半からは前線に絡み、エリア内に侵入する回数が増えていた。サイドチェンジの折り返しにゴール前に入ったタイミングも、宮沢らしい素晴らしいものだった。
広島DFがボックス内で厳しくマークにくる中で、折り返しがあった時にDF1枚がFW興梠につられた。そのスペースに1人、2人が入っていけばチャンスは生まれやすい。宮沢はそこを見逃さなかった。彼はサッカーIQも高いし、戦術眼もある。まさにミシャサッカーを体現した形となった。
上位相手に勝利で自力残留を決められたが、本人のコメントからも、残留争いから抜け出すことは、改めて簡単なことではないと思い知らされたのではないだろうか。特に残留を懸けて向かってくるチームとの試合は、相当難しくなるものだ。
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最終戦で課題も浮き彫り 来季へ向けてさらなる成長を
今季最終戦(○4―3)の相手はまさに残留に勝利が絶対条件の清水だった。点の取り合いになったが、そこをしっかりはね返せたことは大きい。
ただ課題もあった。後半4分、6分と連続失点し、1―2で敗れた福岡戦(10月8日)と同じようなことを繰り返した。今回はチームを落ち着かせられるキャプテンがいた中でもそれは起きてしまった。ということはやはり、全員がそういう時間帯に何をするべきかを理解し、実践していく強さを持っていなければならないということだろう。そこは来季に向けて成長していってほしい。
今季は思うような順位ではなかったが、来季はしっかりと結果を出せるシーズンにしたい。「また言ってるのか」と揶揄(やゆ)されるかもしれないが、クラブの目標としては、やはりACL出場を狙っていきたいし、タイトルには近づきたい。今季終盤の戦いは確実にチームの糧になっているはずだ。今の攻撃的なサッカーを貫いたまま、それは実現できると信じている。
(コンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン)