引退覚悟のグローブ大改造 宮西「逃げ道をつくらないように、全部にこだわる」
長さを1.5センチ大幅縮小「来年は全てを懸ける」
引退覚悟のグローブ改革だ! 日本ハムの宮西尚生投手(37)が2日、大阪市の「ミズノエンジン」で行われた「ミズノブランドアンバサダーズミーティング」に参加し、来季はグローブを大幅に小さく変更する意向だと明かした。この日は担当者に、今季のものより長さが約1.5センチ短い試作品の製作をオーダー。細部まで徹底的にこだわり、最高の相棒と共に新球場に乗り込むつもりだ。
何種類かのモデルをテーブルに並べ、宮西は真剣な表情で悩んでいた。何度も手にはめ、大きさや感触を確かめながら、理想を模索した。「来年は全てを懸ける。言い訳がつくれない状況に自分で持っていきたいから、逃げ道をつくらないように、全部にこだわる。無理だったら無理、終わり」。ダメなら引退。だからこそ、相棒選びに一切の妥協を許さなかった。
今の体に合うベストなサイズ「指先まで神経が通っている感覚持てる」
担当者と熱心に話し込み、最終的には一気に1.5センチ小さくすることを決断。グローブ作りを約20年続け、現役時のイチロー氏も担当した名クラフトマンの岸本さんが「私は15(ミリ)も一気には(変更)したことない。初めて聞きました」と言うほど、超異例の大改造だ。
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もちろん、鉄腕の選択には理由がある。「若い時とは、体のコンディションが違う。今のフォームに合うであろう大きさ、バランスのグローブにしたい。今の体に合うベストな大きさを、事細かく注文した」。グローブを小さくするメリットについても「軽くなる。あとはグラブの指先まで自分の神経が通っている感覚が持てる」と説明した。
「フォームも変わるかも」期限設けず究極のグローブ追求
〝商売道具〟を大幅に変えれば、経験豊富なベテラン左腕でも適応は容易ではない。「グラブはピッチングフォームのバランスの一つ。がらりと大きさを変えるから、フォームも変わるかもしれない。ピッチャーはグローブが命やから」。それでもリスク承知で、チャレンジすることを選んだ。
年内には、第1弾の試作品が完成する予定。「とりあえず1個、至急で作ってもらって、それでゴーを出せたらキャンプまでに間に合うかな」と期待しつつ、「良いグラブって、はめた瞬間にフィット感がある。(試作品への)注文が多かったら、間に合わん可能性もある」と、期限は設けずに最良の一品を追い求めていく。
新球場元年 再出発
今季は入団以来継続していた50試合登板に届かず、悔しい1年を過ごした。新球場元年の来季、こだわり抜いた究極のグローブを手に、復権を懸けた背水の戦いに挑む。