スノボHP女子に期待の新星現る! 札幌出身13歳・工藤璃星
SAJのスイス遠征に道内からただ一人選出
スノーボード女子ハーフパイプ界から期待の新星だ! 札幌市出身の工藤璃星(13、チームホクトスポーツ)が、来年1月2日からスイスで行われる全日本スキー連盟(SAJ)の遠征に道内からただ一人、選ばれた。この遠征は将来有望なタレント発掘育成事業として行われる。
ジュニア時代から連戦連勝を遂げ、11月のシニアデビュー戦でもぶっちぎりの初優勝を飾った実力の持ち主。その将来性を見込まれ、12月から国内大手のマネジメント会社と北京五輪銅メダリストの冨田せな(23)や、冨田るき(20)とともに契約した。
あどけなさは残るもトリックと発言は大人顔負け
あどけないルックスとは裏腹に、繰り出すトリックも、発言も、大人顔負けだ。工藤のスタンスはレギュラーで、得意技はつま先側エッジで踏み切り、空中で反時計回りに横2回転半して着地するフロント900。昨シーズンの終わりには、さらに半回転を加えたフロント1080と、スイッチスタンスでフロント回転するキャブ1080の大技の着地に成功した。「それを大会に使えるかって言ったら全然そうじゃなくて。フロント720でちゃんとグラブをした方が、点数が出ていた。五輪に行っている人くらいのフロント1080をしなきゃ、全日本では勝てない。みんながやっていないようなルーティンで優勝したい」と、来年3月に初出場する予定の全日本選手権(青森)では、史上4人目の中学生女王を目指す。
金メダリスト・平野歩夢を指導した父の影響で3歳から競技始める
13歳にして競技キャリアはなんと10年。北京五輪金メダルの平野歩夢(24)を小学生の時から指導した父の佳人さん(55)の影響で、3歳の時に「気づいたらやっていた」(璃星)。「難しい技とか自分でアレンジしたり、いろいろ組み合わせてルーティンとかにしたりできるのが面白い」と目を輝かせる。
佳人さんは「頑張ったのは本人。理論や知識を組み合わせて新しい技を開発している。早く技を習得できるタイプ」と選手としてのまな娘を評価する。「フロント1080からキャブ1080、フロント900からバックサイド900。いまのところ、このルーティンを国内でできる女子はいない。これから完成度やグラブの長さを身につけていけば」と全面的にサポートしていく。
今年5~11月のオフシーズンは、滑られる場所を求めて月に1~2週間ほどは山梨の屋内ハーフパイプ場で短期合宿を繰り返した。12月に入って雪が降り出すと、朝から晩までさっぽろばんけいスキー場などへほぼ毎日通い詰めて練習。自宅にいる時間よりもゲレンデにいる時間の方が多い日もあるという。
日本人最年少メダリスト・開心那からも刺激
昨夏の東京五輪女子スケートボードでは、12歳11カ月で日本選手史上最年少メダリストとなった苫小牧市出身の開心那(14)ら同世代の活躍にも刺激を受けた。「すごいなって思ってます。ハーフパイプもスケボーと同じで出られるんだったら、今、自分がどうなってるかなって、ちょっと考えたりした」。世界トップの舞台に飛び出す日を今から心待ちにする。
今年8月に13歳となり国際スキー・スノーボード連盟(FIS)の選手登録が解禁となったが、ハーフパイプの場合、W杯と五輪には15歳になるシーズンという年齢制限がある。まずはジュニアの世界選手権(23年9月、ニュージーランド)などに出場し、経験を重ねていく。
■プロフィール 工藤璃星(くどう・りせ) 2009年8月28日、札幌市生まれ。北京五輪男子ハーフパイプ金メダリストの平野歩夢らを指導していた父・佳人さん(55)の影響で、3歳で板に乗る。2020-21シーズン、女子最年少の11歳で高校生以下のナショナルチームに選ばれる。19年2月の全国ジュニア選手権ハーフパイプ小学3年の部で初優勝。昨季から15歳以下の強化指定を受ける。憧れの選手は18年平昌、22年北京五輪金メダルのクロエ・キム(22)。スポンサーはFLUXなど。スタンスはレギュラー。150.5センチ、44キロ。家族は両親と妹。