函館出身の関東学院大2選手がJリーガーに 村上が横浜M、河波が鳥栖へ加入
横浜M・村上は今季特別指定でJ1リーグ4得点「世界に羽ばたく夢がある」
小学3年の函館選抜で一緒にプレーした2人が、同時にJリーグ入りする。関東大学サッカーリーグ2部の関東学院大は22日、J1横浜Fマリノスに加入するFW村上悠緋(4年、北海道大谷室蘭高出)と、J1サガン鳥栖に加入する河波櫻士(4年、札幌創成高出)ら5人の合同記者会見を行った。
村上は、2021年12月に横浜Mに内定し、今季、特別指定選手となった。8月のルヴァン杯準々決勝広島戦では後半45分間プレー。リーグ戦では11試合で4ゴールを挙げた。「サッカーを始めた頃から夢だったJリーグの舞台と、そこから世界に羽ばたこうという夢があるので、そこに向かって来年から頑張っていきたい」と声を弾ませた。
持ち味はなんといっても得点力。2年時に大学リーグ戦で20得点をマーク。3年時の昨年5月には、大学とチームの提携によりJリーグのルーキーリーグ浦和戦に出場し、ハットリックを挙げ一躍注目を浴びた。
今季は2月に左腓骨骨折で不完全燃焼「開幕スタメンを狙っていく」
2001年に札幌でプレーし、今季、横浜Mから関東学院大へ監督として派遣された奈良安剛監督(40)は「ゴール前の質が高い。性格も素直で向上心がある」と絶賛する。
ところが今季はけがに苦しんだ。「キャンプにも参加させてもらっていたけど、2月の練習中に左腓骨(ひこつ)を骨折して、夏までプレーできなかったのが悔しかった」。競技人生初の大けがで約半年間を棒に振った。7月に復帰したが不完全燃焼に終わっただけに「(来年は)遠慮せず、開幕スタメンを狙っていきたい。まずはキャンプからアピールしていきたい。自分が出た際には、得点でチームの勝利に貢献したいし、2桁得点を目指していきたい」と、今季のJ1チャンピオンチームで1年目から勝負をかける。
鳥栖・河波はスピード自慢「チームのために泥臭く走る」
鳥栖に内定した河波の持ち味は高いスプリント力だ。30メートルスプリントでは3秒83をマーク。大学では主に左WBに位置し、4年間でリーグ戦1得点に留まったが、奈良監督は「マリノスのトップ選手と比べても非常に高いものがある」と驚いたという。河波はルーキーイヤーに向け「チームのために泥臭く走る。攻守両面でスピードは生きてくる。相手のカウンターだったりを封じ、攻撃でも負けない自信がある。たくさん勝利に貢献したい」と活躍を誓った。
母子家庭で育ち、高校卒業後は就職して家庭を支えるつもりだった。それを聞いた村上が「高校まで別のチームだったけど、お互い意識するプレーヤーだった。進路を聞いたらサッカーを辞めるかもしれないと聞いて『(自分は)関東学院に行くけど、一緒にやらないか?』」と誘った。競技への未練を捨てきれなかった河波もその言葉で大学進学を決意した。
入学後しばらくして河波の元に母から手紙が届いた。「関東でサッカーをしたいと言われたときはびっくりした。お金の面は気にしなくていいから。その代わり母ちゃんとの約束の『プロサッカー選手になりなさい』」と書いてあった。
次の対決はJ1舞台で 河波「負けたくない」村上「僕の方が得点感覚は上」
今年9月後半の2週間、鳥栖の練習に参加。そこでも高い走力を評価された。「(内定が決まったときは)実感がわかなくて、ホッとしたのが一番大きかった。早く家族に伝えたかった」。函館で暮らす母への恩返しのために、1日でも早くプロデビューを目指す。
2人が公式戦で最後に対戦したのは、高校3年時の全国高校選手権道予選の準決勝。その時は、1―0で村上の所属する北海道大谷室蘭に軍配が上がった。次に対戦する機会はJリーグのピッチ。河波は「負けたくない」とリベンジを誓い、村上も「僕の方が得点感覚は上と思っているので、そういった部分で上回っていけたら。同じピッチで対戦したいし、その時は負けない」。
将来、同じクラブ出身で、日本代表としてW杯で共に戦った三笘と田中碧のように、函館出身2人のライバル物語に、新たな1ページが刻まれようとしている。対決する日が訪れるのが待ち遠しい。
■プロフィール
村上悠緋(むらかみ・ゆうひ) 2000年12月19日、函館市生まれ。ポジションはFW。函館中の沢小1年時に函館桔梗少年団で競技を始める。北海道大谷室蘭高では2年時に全国高校総体に出場。関東学院大では2年時に関東2部リーグで20得点を挙げ、得点王とベストイレブンを受賞。今季は4点。177センチ、69キロ。家族は母と兄。
河波櫻士(かわなみ・おうじ) 2001年1月12日、函館市生まれ。ポジションはFW。函館神山小1年時に、アストーレ鍛神FCで競技を始める。札幌創成高では左サイドバックとして全国高校選手権道大会4強。関東学院大では2年時に1得点。174センチ、67キロ。家族は母と姉、妹。