札幌大ヴィスタ 不運な失点で無念の初戦敗退 大学女子サッカー選手権1回戦
■全日本大学女子サッカー選手権(24日、兵庫・みきぼうパークひょうご第2球技場ほか)
不運な形で先制され大量失点
1回戦が行われ、北海道代表で2年連続10度目出場の札幌大ヴィスタは明治国際医療大(京都)と対戦。不運な形で先制されたことをきっかけに4失点を喫し、0-4で完封負けした。
札幌大を率いる氏家新司監督(39)は、ある程度引いて守る守備的な戦術を選択。相手がボールを保持する時間が長くなるが、序盤は主将のDF諸岡紬(4年)を中心とした守備陣が強固な守りを見せ、相手に大きなチャンスを与えずに試合は進んでいった。
しかし前半29分、意外な形で均衡が崩れる。相手選手が左サイドから上げたクロスがゴール方向へ飛ぶと、ボールはGK吉武きらら(4年)が懸命に伸ばした手の先を越えて、ゴールマウスに吸い込まれてしまった。不運な形で先制され、続けて同43分にも追加点を許して0-2で前半を折り返した。
前半はなかなかチャンスをつくれなかったが、後半12分にMF大沼寿々歩(4年)とFW竹山智恵(3年)が交代でピッチに入ると、相手陣内でのプレーが増えていく。右サイドのMF猪又月菜(るな、1年)も持ち前のスピードを生かしてチャンスメークするが、どうしても相手ゴールを割ることができない。すると同34分、相手に痛恨のPKを与えてしまう。これを決められると、2分後の同36分にも失点。最後まで諦めずにボールを追い続けたが、得点を挙げられないまま試合は終了した。
氏家監督「懸ける意気込みは試合の中で表現できた」
試合後、氏家監督は「このゲームに懸ける意気込みはすごくあって、それは試合の中で表現できたのかなと思います。準備してきたこともみんなで共通認識を持ってやりましたし、守備のところは特に大変だったけれど、一人一人、すごく頑張ったと思います」と奮闘した選手たちをたたえた。一方で、反省点は細かな部分にあった。「局面での体の使い方だったり、ちょっとしたバウンドの弾ませ方とか、ボールのつっつき方とか、やはり全国との差はまだあるんだなと感じました。悔しいですけれど、それを今後につなげていけたら」と課題を口にした。
諸岡主将は「自分たちの連係ミスで失点してしまい、ゲームプランがうまくいかなかった。自分たちのやりたかった事が全然できなかった悔しさがすごくある。でも下の学年のみんなが支えてくれて、次の代にはつなげられたのかなとは思います」と振り返った。
4年生にとっては、この一戦が大学生活最後の戦いとなった。指揮官は「この4年生はチームのために一生懸命、嫌なことも、辛いことも引き受けてやってくれた。本当にいい4年生だったし、それを見ていた後輩たちがまた次につなげてくれるんじゃないか」と最上級生に感謝した。
諸岡主将「4年間、この仲間とできたことを誇りに思います」
大学で選手生活を終える諸岡主将は「コロナ禍で試合に出られず、(試合での)悔しい思いもできないまま卒業していった先輩たちも見てきたので、こうやって最後に試合ができて終われたことはすごいうれしいこと。4年間、この仲間とできたことを誇りに思います」と胸を張る。
卒業後は高校年代の指導者としてサッカーに関わっていく。「北海道は雪でサッカーができない時期もあるので、本州のチームに比べて、冬の時期に開催される試合では思うように結果が出ないことも多い。自分の経験をこれからの年代の選手たちに伝えたり、全国レベルのスピードやパスなどのプレーの質を自分が体現して、しっかりと教えていけるような指導者になりたい」と前を向いた。
本年度の札幌大ヴィスタの戦いは終わったが、この日のタイムアップの笛は、次の試合へのキックオフの笛。悔しさを味わった下級生たちが中心となる新チーム、それぞれの道に進む4年生たちの将来にも、新たな戦いは待っている。