連載「FtoF」⑤ 打たせる難しさ痛感中 打撃投手に転身した長谷川凌汰さん
育成契約から、はい上がった右腕 現役生活にピリオド
日本ハム(〝F〟IGHTERS)に在籍した元プロ野球選手に、未来(〝F〟UTURE)への展望を聞く連載「FtoF」。最終回となる第5回は、2019年の育成ドラフトで3位入団し、21年には支配下昇格と1軍デビューを勝ち取った長谷川凌汰さん(27)。今季限りで現役を引退し、来年からは主に鎌ケ谷で打撃投手を務める。打者の調子を左右する大切な役目を託された右腕が将来への決意を語った。
けがも影響 父からの「ようやった」に感銘
戦力外を通告され、心は揺れた。野球を続けるか、やめるか―。トライアウトを受けたが、NPB球団から声はかからなかった。独立リーグからの誘いに乗って現役を続ける道もあったが、再びNPBに戻れる自信は、もうなかった。体の状態や27歳という年齢も考慮し、引退を決めた。
「戦力外になる予想はある程度していました。僕の力が足りなかった。(右肘じん帯損傷の)けがを完全に治せればっていう気持ちはあったんですけど、やっぱり感覚的に戻ってこない部分があった。(現役を)やりたい気持ちは、シーソーゲームみたいでしたけど、両親とも相談して決めました。父親は少年団の監督で、(関係は)親子というより監督と選手。野球のことを一番に相談するのはいつも父でした。少し前に実家に行き、帰り際に一言、『ようやった』って言われた時はグッときましたね」
思い出深いプロ初登板初ホールド
印象に残っている試合は、プロ初登板となった21年3月27日の敵地・楽天戦。当時の指揮官だった栗山監督から試合前に「良い状況で出すかもしれないから準備しとけ」と声をかけられると、言葉通り1点リードの七回からマウンドに上がり、3者凡退に仕留めて初ホールドをマークした。
「ブルペンには宮西さんがいて、杉浦さんがいて、堀も準備していました。その中で名前が呼ばれた時は、俺なんだってグッと(気持ちが)上がりました。しかも楽天は4番の浅村さんから始まる打順。何万人っていうファンの方がスタンドにいて、ベンチからグラウンドに一歩出た時の『うわっ』ていう感覚は本当に鳥肌ものでした。自分が人生で一番集中していた瞬間です」