繊細なこだわりは、時には邪魔になるのかもしれない。宮西の話を聞いていて、そう感じた。１５年間、慣れ親しんだ札幌ドームから北広島のエスコンフィールド北海道へ舞台を移す。投手として、マウンドの違いは気になるところだ。

　来季に備え、スパイクの改良を予定しているという。「マウンドに合った歯があるから、エスコンがどういう土なのか。札幌ドームとはまた違うでしょ」と指摘。「行ったタイミングで試すしかないよね。滑りやすいとか、固いとか。だいたい触れば分かる」と涼しい顔で説明した。

　もっと神経質になっているのかと想像していたが、宮西は一笑に付した。「リリーフはいつでも、どこでもきれいなマウンドで投げることはないから」。少々のことでは、動じない。この言葉には、過酷な環境で投げてきた鉄腕の矜持（きょうじ）が詰まっていた。