エースが帰還!新濱が男子500で3年ぶりV 全日本スピードスケート選手権
■全日本スピードスケート選手権大会 第1日(28日、青森・YSアリーナ八戸)
▽男子500メートル
2位村上とわずか0秒01秒差「やっと戻ってこられた」
わずか0秒01秒差―。男子500メートルは新濱立也(26、高崎健康福祉大職、釧路商業高出)が34秒65を記録し、3年ぶりの優勝を果たした。同走・村上とのデッドヒートを制し、今季は主要大会のレースで初優勝。新濱は「やっと戻ってこられたなっていう気持ちしかないです」と素直に喜びを口にした。
レースプランはすぐに狂いが生じた。隣の村上が最初の100メートルを9秒47というロケットスタートを切った。対する新濱は9秒71で通過。「最初の100メートルが本当に速くて、ちょっと焦った」と振り返った。力みも生まれ、少し動きが止まったというが「自分の気持ちを一瞬で整理して、コーナーからは気持ちを切り替えた」と脅威の修正力で逆転した。
「毎レース、ラストの100メートルは他の海外の選手、日本の選手全員の中でも、最後は絶対にスピードを上げて、ゴールしてるっていうデータがある。そこが自分の強み」と、終盤の強さには自信に満ちあふれている。
最後は気持ちで勝負「予想以上に最後の6メートルは伸びてくれた」
最後の追い上げは「体1個以上の差があったので差すことはできないかなっていうところはあったんですけど、予想以上に最後の6メートルは伸びてくれた。自分の力強さが氷にうまく伝わって、全て推進力に繋げられたことが、差し切れた要因。最後はもう気持ちで勝負した」と胸を張った。
シーズンはまだ続くが、2022年は苦しい1年だった。期待された北京五輪でも納得する結果は残せず、10月の全日本距離別選手権では、500メートルはまさかの7位に沈み、前半のW杯の派遣メンバーからも漏れた。スケート靴が壊れた影響もあったが「あそこまで成績が出なかったっていうのは、自分にとってもわからない」と振り返る。
スケート靴を新調し、約1カ月が経過した。リンクに乗るたびに感覚が違い、試行錯誤は続いているが、この優勝は大きな勝利となった。「自分なりのスケーティングが見つかりつつある。こうやって全日本の表彰台の一番上に戻って来られているので、本当にいい経験。自分のことを改めて考える時間をつくれたので良かったのかな」。同種目の日本記録保持者であるエースが、年の瀬にトップの座へ返り咲いた。