ファイターズ
2022/12/30 19:30

《ハム番24時》拡大版②

近藤の大型契約に納得 破格とは思わない

 ライバル球団は数字に表れない付加価値を見抜いていた。海外フリーエージェント(FA)権を行使した近藤健介外野手(29)がソフトバンクに移籍した。出来高を含めて7年総額50億円規模(推定)とされる大型契約だが、破格だとは思わなかった。

 2011年ドラフト4位。大学生の菅野(巨人)、藤岡(21年引退)、野村(広島)がビッグ3と呼ばれ、近藤はまだ突出した存在ではなかった。指名あいさつで横浜高に出向くと、人懐っこい笑顔に癒やされた。両親の影響でゴルフにも熱中し、スコアを尋ねると、趣味の域を超える腕前だった。話し方や所作がどこかスマートで、クレバーな一面ものぞいだ。

福良元ヘッドをも、うならせた打撃センス 1年目のキャンプから披露

 年が明け、2月のキャンプで衝撃を受けた。首脳陣が見守る中、ルーキーが初めてフリー打撃に参加した。高校卒業を控えた18歳の彼は、体がねじれるくらい木のバットを振り回した。打球が速い。穏やかな表情や性格からは想像できない荒々しさがあった。

 アマスカウト経験もあった福良ヘッドコーチ(現オリックスGM)は珍しく、笑っていた。「4位までよく残っていたよな。こんなに振れる新人はまずいない」。すでに〝大当たり〟を確信しているかのような、口ぶりだった。

 打率、本塁打、打点の主要タイトルは獲得していない。柳田(ソフトバンク)、吉田正(レッドソックス)、山川(西武)、浅村(楽天)と比較すれば、控えめな印象があるかもしれない。

研究熱心な努力家 今後の野球人生にも注目

 本質は違う。キャンプ中も夜遅く、室内練習場にこもり、1人で打ち込む姿を何度も目撃した。若手が追い付つくのは不可能ではないか―。そう感じるほどの練習量、熱量があった。日本ハムでは入団当初から稲葉(現GM)、金子(現ロッテ戦略コーチ)ら主力の先輩に認められ、年齢を重ねてからは後輩に慕われていた。

 10代の頃も30代目前の今も、野球の技術や理論を突き詰めようとしている。向上心の塊だ。きっと引退するまで、あぐらをかかないだろう。仲間たちにもプラスの影響を与えられる希少な選手。球界最高クラスの評価を受けるのも、納得だった。

関連記事一覧を見る

あわせて読みたい