コンサドーレ
2023/01/01 05:00

札幌復帰の具聖潤「今までもらった恩を返す」《〝約束の地〟でリスタート》前編

2年ぶりに札幌に復帰した具聖潤。守護神復活へ再びスタートを切る

■新春特別インタビュー
 W杯に熱狂した2022年が終わり、23年が幕を開けた。今季開幕戦を迎えるにあたり、楽しみなことの一つが北海道コンサドーレ札幌の守護神はいったい誰になるのか、ということだ。15~20年5月まで札幌の守護神を務め、幾多のビッグセーブでサポーターに愛されてきた韓国代表GK具聖潤(28)が兵役を終えてクラブに復帰したからだ。札幌を退団する際、「いつかまた札幌に戻ってきてプレーして、皆さんと熱い試合をしたい」と語り、今季、再び〝約束の地〟へ戻って来た。22年までの守護神はGK菅野孝憲(38)だったが、具聖潤が再びレギュラーを奪うのか、その意気込みを聞いた。

10月に合流「毎日幸せ。久しぶりという感覚なく、昨日もいたような感じ」

 22年9月25日。3年ぶりに開催されたサポーターズデーのオープニングで、三上大勝代表取締役GM(51)が「具聖潤が10月にチームに合流し、来季一緒に戦います」とサプライズ発表すると、会場に駆けつけた約3500人のサポーターから大きな拍手が沸き起こった。多くのサポーターが待ち望んでいた具聖潤の札幌復帰。だがこの時を待っていたのはサポーターだけではない。約束を果たした具聖潤本人も待ちに待った瞬間であった。

 昨シーズンが終わる前に合流し、練習参加した。「毎日幸せで、練習が終わってからも早く次の日が来てほしいなというくらい幸せな気分です。2年ぶりの復帰ですけれど、久しぶりという感覚はなく、昨日もいたような感じ。そのくらい幸せ」と、うれしそうにそう語った。

ケガ続きのC大阪時代「何も無い自分に声を掛けてくれたチームが札幌でした」

 前回在籍していた6年間は、加入した15年開幕戦でレギュラーの座を勝ち取ると、躍進するクラブと足並みを揃えるように選手として大きな成長を見せた。U-23韓国代表のメンバーとして16年のリオ五輪に出場。そしてついには韓国代表にも選出されるまでのGKとなった。それだけの選手を他クラブも放っておくはずはなく、軍隊のクラブであるKリーグ2部・金泉尚武での活動を終えると、国内外の複数クラブが獲得に興味を示した。だが本人は他チームからの話には一切興味を示さず、兵役が終了する以前から次の所属先には札幌を選ぶことを心に決めていた。

 なぜそこまで札幌復帰にこだわったのか。「C大阪時代はケガばかりで、一人で泣いたり、苦しい毎日が続いていた。そんな本当に何も無い自分に声を掛けてくれたチームが札幌でした。これから(選手として)どうなっていくのか分からないのに、自分のポテンシャルを信じてくれたので、オファーを聞いてからすぐに『行きます』と代理人に伝えました。(15年の)開幕戦からチームは使ってくれましたし、チャンスをもらえたから具聖潤という選手は今もいるんじゃないかと自分は思っています。自分が今までもらった恩を返すためにも、もっと良いプレーを見せなければいけないと思っていますし、恩返しはタイトルを取ることじゃないかと思っています。今年か、5年後か、10年後になるか。取れないかもしれないけれど、取るために毎日、コンサドーレと、チームと、一緒に頑張ってやっていきたいと思っています」。自身を開花させてくれたことに感謝し、再び共にタイトルに向かっていくことを誓った。

忘れられない15年ホーム開幕戦 初の札幌ドーム「鳥肌が立つくらいすごい雰囲気」

 札幌で印象に残っている試合について聞くと、「忘れられないのは15年のホーム開幕戦(対長崎、●0-1)。札幌ドームでの初めての試合でしたが、鳥肌が立つくらいすごい雰囲気でした。あとはリーグ4位になった(18年ホーム最終戦の)広島戦(△2-2)。勝てば2位に入っていたので、悔しい気持ちはまだあります」と振り返り、リベンジへの思いをたぎらせた。

 あと一歩のところですり抜けていったJ1リーグ2位とACL出場権。「それは早く忘れて、4位よりも1位を目指すしかない」と前を向く。23年シーズン、初タイトルを目指す札幌の勝利に貢献するため、〝約束の地〟でリスタートを切る。

《後編に続く》

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