札幌復帰の具聖潤「サポーターと一緒に熱い試合がしたい」《〝約束の地〟でリスタート》後編
■新春特別インタビュー
親友・深井が長期離脱「あいつこそ本当に勇気をもって戦っているヤツ」
GK具聖潤を語る上で欠かすことができない男が札幌の選手の中にいる。MF深井一希(27)だ。かつては同じマンションに住んでいたこともあるほど仲が良かった二人は、具聖潤が韓国に戻ってからも連絡を取り合っていたいわば親友だ。出会った時には互いにまだ独身だったが、今では二人とも伴侶を得て家庭を持つ立場となった。「昔に比べたらそんなに飲みに行ったりはできないけれど、たまにはご飯に行ったり、軽く一緒に飲んだりはしてますね。本当に大切な親友だと思っています。一希はどう思っているかは分からないですけれど(笑)。一番、仲が良いと自分は思っています」と、深井との関係を明かした。
その深井は昨季途中に右膝前十字靱帯断裂の大ケガを負ってしまった。深井にとってプロ入りから4度目となる前十字靱帯断裂による長期離脱。だが具聖潤は再び深井がピッチへ戻ってくることを当たり前のように信じている。「一緒にプレーしたいけれど、今はゆっくり焦らずに健康な体をつくってから復帰してほしい。ケガをして能力的に落ちてしまうとか、そういうことは今までなかったし、あいつこそ本当に勇気をもって戦っているヤツなので。早く二人で良いプレーをして、タイトルやACL出場権を取りたい」と、共に同じピッチで戦う日を待ちわびている。
現在28歳「自分が若い選手を成長させる立場に」
15年の札幌加入時にはまだ21歳だったが、現在は28歳となった。若手の域を越えて、中堅、ベテランと言われるような年齢となり、「自分が若い時には上に稲本さんとか、(小野)伸二さん、キャプテンだった(河合)竜二さん、内村さん、(上原)慎也さんとか、いろいろ先輩たちがいたんですけれど、今は自分の立場が逆になったと思うんですよね。若い選手がたくさんいて、自分はもう28歳。まだまだやれる年なんですけれど、(自身の)役割が前とちょっと変わったのではないかと。自分がベテランの位置で、若い選手を成長させる立場になっていくんじゃないかと思っています」。自分自身のプレーだけではなく、若い選手を引っ張る立場になってきてきたことを自覚してきたのは、プロサッカー選手として新たな段階に入ってきた証拠でもある。
ペトロヴィッチ監督の下では18年から2年半ほどプレーした。「ミシャさんが来てから良いサッカーを教えてもらっているので、このサッカーで絶対、結果を残したい。キャンプから集中して、開幕戦から出られるように頑張っていきたいと思っていますし、ケガにも気をつけながら、健康な体で全試合に出る目標もあります。北海道コンサドーレ札幌のサポーターと一緒に戦って、熱い試合をやっていきたい」。
具聖潤が抜けた後に札幌のゴールマウスを守り続けてきた菅野孝憲(38)と、どういうレギュラー争いを繰り広げるのか―。その他にも虎視眈々と正GKの座を狙う大谷幸輝(33)や松原修平(30)がいる。韓国代表という肩書を持つ具聖潤だからといって、決してポジションが確約されている状況ではない。競争激化の中で再び守護神の座をつかみ取り、〝約束の地〟で最高の恩返しを果たしてみせる。