男子1500初優勝の山田和「とても嬉しい」練習中の負傷にも動じず 全日本スピードスケート選手権
■全日本スピードスケート選手権大会 第2日(29日、青森・YSアリーナ八戸)
▽男子1500メートル
大会新1分45秒57に「もうびっくり」
ケガの功名だった。山田和哉(21、高崎健康福祉大、池田高出)が1分45秒57の大会新記録を叩き出し、全日本で初の頂点に立った。「初めて全日本の舞台でトップに立てて、とても嬉しい気持ちです」と素直に喜んだ。
直前に滑った一戸が記録した1分46秒15のリンクレコードをすぐに塗り替え、さらに2022年に小田が打ち立てた1分45秒72の大会記録をも上回った。「今回は(全体的に)記録が出てない部分が多いので、高いラップにしてしまうと、最後に疲れてしまう可能性があったので、いつもより少し低く見積もった」と、目標タイムを1分45秒9に設定していたが「もうびっくり」と笑った。
練習中に転倒で左臀部強打 直線歩数増やし「うまくはまった」
アクシデントもプラスに変えた。午前中の公式練習中、コーナーで転倒し、左臀部を強打。「左足に力が入らない状態」だったが、直線の歩数を普段の6歩から8歩に増やすなどして対応。実はW杯前半戦の前にも同じところを負傷しており、歩数を増やすことはW杯でも試していた。「W杯中は全然うまくいかなかったんですけど、今回はうまくはまったかな」と、してやったりだ。
自らも驚くほどの好結果につながったが、この滑り方を続けるつもりはない。「今日の感覚は全然良くなくて、やっぱり付け焼き刃。足に力が入って、しっかり氷を捉えた方が脈も抑えながら滑られると思う。足に力が入ったら、もうちょっと落ち着いた滑りをしたい」と、大会記録にも浮かれることなく、冷静に分析した。
今季のW杯前半戦では同種目で5位に入るなど、表彰台も視野に入る。その鍵は前半の滑りだ。「1100(メートル)までのタイムがやっぱり負けているので、最後に頑張っても巻き返せない部分がある。次は1100まで全力を出しきるぐらいの気持ちで滑っていきたい」と意気込む。昨年からW杯に参戦している21歳の新鋭が、着実に階段を上っている。