夏季スポーツ
2022/12/29 21:20

北海〝PK職人〟の好セーブ生かせず 名門・国見に惜敗 全国高校サッカー選手権

PK戦で国見の1本目を止める北海GK葉原(撮影・富田茂樹)

■全国高校サッカー選手権 第2日(29日、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場) 
▽1回戦 北海1-1(PK5-6)国見(長崎)

途中出場の葉原がPK戦で最初の1本をセーブ「恩返しできるチャンスだった」

 2年連続出場の北海は、1点ビハインドの後半27分にMF桜庭平良主将(3年)の同点弾で1-1に追い付いたが、PK戦の末に惜しくも敗れ、18年ぶりの1勝にあと一歩届かなかった。スタメン11人中6人が2年生。この経験を生かして、来年再び国立を目指す。

 創部100年目の北海が、6度の全国制覇を誇る国見を、あと一歩のところまで追い詰めた。試合終了間際に投入されたGK葉原慶太(3年)がPK戦で最初の1本をセーブしたが、3本目にDF大森晴喜(3年)が止められ、サドンデスに突入。6、7本目を連続成功した国見に対し、7人目のDF金田凪斗(3年)が左隅へのキックを止められると、その場に崩れ落ちた。

 葉原は道大会の準々決勝・旭実とのPK戦で連続ストップするなど勝利に貢献。大舞台で再び〝PK職人〟ぶりを発揮したが「PK戦までつなげてくれたメンバーに恩返しできるチャンスだと思って入ったんですけど、国見の選手は駆け引きがうまくて、自分の力不足で勝たせることができなかった」と責任を背負い込んだ。

前半シュート0本 島谷監督「前半に関しては赤点のようなゲーム」

 序盤は硬さが目立ち、相手にボールを回され、前線からのプレスがうまく連動しなかった。就任30年目の島谷制勝監督(53)は「前半ちょっと怖がったり、ボールが落ち着かなかったりして、つなぐ意識もなくて。前半に関しては、赤点のようなゲームになってしまった」。シュートは0本と、主導権を握れないまま1点のビハインドで折り返した。

 去年は長崎総合科学大附に、先制してからセットプレー2発で逆転負け。ハーフタイムで指揮官から「情けないぞ。怖がらないで、しっかりつないで、顔を上げてサッカーやろう」とゲキが入った。桜庭主将も昨年は2年生ながらFWとしてスタメン出場したが無得点。「最後このまま終わるのは、本当に嫌だ」と、2年連続で長崎代表に屈するわけにはいかないと奮起した。

後半MF桜庭が全国初得点となる同点弾「やっと決められた」

 後半15分、FW田中準人(2年)をベンチに下げ、右サイドのMF桜庭を前線へ入れると、一気に攻撃が機能し始めた。すると同27分、関東入り後に気合の丸刈りで試合に臨んだ桜庭から同点弾が生まれた。右サイドから速攻を仕掛け、左サイドから上がってきた野村と2対2の局面をつくり出すと、桜庭が中に切れ込み利き足とは逆の左足でゴール左隅へ叩き込んだ。「野村から『中に行け』って、いい声かけをしてもらって、自分のコースが空いて思いっきり打てました。ゴールは見てなかった」。道大会では5試合無得点だった主将が、全国初得点。「やっと決められた。うれしかったけど、チームを勝たせることが目的だったので、それを達成できなかった」と唇を噛んだ。

 この試合では、先発の2トップを含め多くの下級生が全国のピッチを経験した。桜庭は「自分たちは本当に2年生を信頼してるんで、来年は本当にやってくれると思います」と、全国1勝を後輩に託した。自らは卒業後、滋賀のびわこ成蹊スポーツ大でサッカーを続ける。「今のままだったら、絶対に通用しない。自分自身、パワーアップして、4年後にしっかりとプロの内定をもらえるようにやっていきたい」。2度の大舞台で味わった悔しさを胸に、次のステージでの成長を誓った。

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