勢藤優花「W杯の表彰台に立つまで」 引退決意から心機一転のフライト W杯女子ジャンプ
■FIS・W杯ジャンプ女子札幌大会(6日、札幌・大倉山ジャンプ競技場=ヒルサイズ137メートル)
▽公式練習
北京五輪を最後と決めていた
ノルディックスキー・ジャンプ女子W杯個人第10、11戦が7日から2日間、札幌・大倉山で開催される。国内開催は3年ぶり。日本勢はW杯組と国内枠組の12人が出場。6日は公式練習が行われ、昨年2月の北京五輪代表、勢藤優花(25、ヤマチューン)が1本目に日本勢最長不倒の122.5メートルを飛んだ。北京五輪で現役引退するつもりだったが、五輪後に心境変化し、現役続行を決意。地元で行われる大舞台で上位進出を目指す。
勢藤は公式練習3本中、1本目がK点まであと0.5メートル、54人中5番手につける好ジャンプを披露した。「明日に向けてまだ時間あるので、しっかりスタートを組めるようなトレーニングができれば」と気を引き締めた。
ここ数年は葛藤の日々を過ごした。高梨沙羅(25、クラレ)とは上川中の同級生。早くから注目され、五輪新採用となった2014年ソチ五輪に出場した高梨と比べ、コツコツと実力を伸ばし18年平昌、22年北京と2大会連続出場した。だが、「3年前くらいに、初めてワールドカップで予選落ちを経験して、もうそこからジャンプを辞めたいっていう気持ちがすごい強くなっていった」。競技に対するモチベーションが低下。当然、成績も下降線をたどった。
所属先をヤマチューンに変更
最後の五輪として挑んだ2月の北京五輪で14位タイ。その後もW杯を戦う中、3月のW杯後に「去年の目標がオリンピックでメダルを取ることと、ワールドカップで表彰台に立つこと。その目標を達成できないまま終わるのは良くないのかなって思ったので、どれか1つでも目標達成してからジャンプを辞めたい」と思い直した。当時は北海道ハイテクACに所属していたが、五輪前に退社を伝えていたため、残ることは叶わず4月15日付で退社。「最後やるのは、お世話になったところをチーム名として登録したい」と、以前からソックスの提供を受けていたヤマチューン所属での競技続行となった。
10月の全日本選手権ではノーマルヒル4位とラージヒル3位。W杯はここまで個人9戦に出場して最高10位。「ジャンプのことに対してすごく考えるようになったのが去年との違い。不調の中でもトップ選手のビデオ見て、私との違いを見て、その違いを試合期間で試しながら自分に合ったものを挑戦していけている。今までとは違う環境でトレーニングできたから、今この成績でいられるのかな。もっと夏に練習できたことを発揮できれば、もう少しいいところに行けるのかなと思っているので、今は課題のスタートに重点を置いて試合に臨めたら」。今季日本勢初、自身初の表彰台へ、大倉山の大空へビッグジャンプを描く。