冬季スポーツ
2023/01/08 20:55

高梨沙羅10位「耐えて考えていかなきゃいけない時」スキージャンプW杯女子

高梨沙羅の2回目の飛躍(撮影・大島拓人)

■W杯ジャンプ女子札幌大会(8日、札幌・大倉山ジャンプ競技場=ヒルサイズ137メートル)
▽個人第11戦

地元開催も「自分のジャンプでお客さんを沸かせられなかった」

 「3合目でちょっと疲れ始めてきたな、くらいじゃないですかね」。高梨沙羅(25、クラレ)は現在の立ち位置を登山に例え、そう振り返った。11位に終わった7日の第10戦から巻き返しを狙った高梨だったが、1回目118.5メートル、2回目こそK点越えの123.5メートルを飛んだが、10位に終わった。

 3年ぶりに開催された地元でのW杯を終えた。「自分のジャンプでお客さんを沸かせられなかったのは、正直悔しいところ」と前置きした上で「スキージャンプっていうものを、みんなで楽しんで盛り上げられるっていうのが一番だと思う。やっぱり地元で飛ぶことで、少しでも楽しんでもらいたいとか、応援してもらった分、恩返しがしたい」と観客の温かい応援に感謝した。

 肝心のジャンプに関しては模索が続いている。自分のジャンプを取り戻している最中で、結果を最優先に考えられない現状ではあるが、下を向いている暇はない。「どんなにうまくいかなくても、失敗が続いたとしても、そこは耐えて考えていかなきゃいけない時。諦めずに焦らずにしっかり繋げていきたい」。

変更したスキー板の形状が影響  横川ヘッド「いつも感じていた浮力感じていない」

 今季未勝利が続いている高梨の不振は、ルール変更によりスキー板の形が変わったことも影響している。先端の形状が上向きであることが義務づけられ、昨季まで使用していた平らなスキー板より浮力を感じにくくなった。

 日本代表の横川朝治ヘッドコーチ(56)は「(空中で)立ち上がる時に少し前に行き過ぎている」と指摘し、「下(踏み切り台)に力が伝わってない分だけ、後半苦しい。ほぼパーフェクトな動きをしてるんですけど、ちょっと(前に)行き過ぎですかね。空中に出た時に、いつも感じていた浮力を感じてないから、(前に)行っちゃう」と説明した。

次戦はW杯初勝利の山形・蔵王「思い入れのあるジャンプ台」

 自らのジャンプのベースを構築しながらW杯を転戦する難しさもあるが、札幌2連戦の収穫は大きかった。高梨は「気持ち的にはやっぱりしんどいですけど、やらなきゃいけないことっていうのが見えてきましたし、自分の今後やりたいビジョンもイメージとしては強く感じることはできたので、すごく良い試合だった」と振り返った。

 次戦は13日からの山形・蔵王3連戦。2012年にW杯初勝利を挙げた場所だ。「思い入れのあるジャンプ台でもあるので、そこで良いジャンプがしたいっていう気持ちもあるんですけど、まずは、蔵王のジャンプ台に自分を合わせていきたい」。縁起の良いジャンプ台で復調のきっかけをつかみにいく。

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