勢藤優花 2戦連続9位「スタートが良ければ飛んでいける」スキージャンプW杯女子
■W杯ジャンプ女子札幌大会(8日、札幌・大倉山ジャンプ競技場=ヒルサイズ137メートル)
▽個人第11戦
1回目から順位落とすもミックスゾーンで笑顔
上川町出身の勢藤優花(25、ヤマチューン)が、1回目にK点越えの126メートル、2回目に119.5メートルで、2戦連続で日本勢最上位の9位でフィニッシュした。高梨沙羅(25、クラレ)は前日から一つ順位を上げて10位。次戦は13日から山形・蔵王で個人2試合と、1カ国2人のスーパーチーム団体戦が行われる。
7日の札幌大会初戦で今季初シングルと復調した勢藤が、2日続けて高梨を抜いて日本勢最上位に君臨した。2回目を飛び終え、1回目から順位は落としたが「シングルですか? 良かった。もうちょっと落ちたかなと思ってた」とミックスゾーンで笑顔が弾けた。
課題のスタートはクリア 優勝したオプセトにスピードで肉薄
課題のスタートは前日に続いてクリアした。飛び出しのスピードは91.1キロで1回目を飛んだ選手の中で5番目。飛距離もK点を越えた。その時点では表彰台の3位まで12.2ポイント差の5位。飛距離に換算すると約6.8メートル差だった。「ポイント差が少なかったので、2回目もしっかり飛べれば、状況によってはもっと順位を上げられる。表彰台を目指して頑張ろう」と2回目のスタート台に向かった。
勝負の2回目。1回目よりスピードが出にくい低いゲート設定から飛び、優勝したシリエ・オプセト(ノルウェー)にわずか0.1キロ差と肉薄した。飛距離は伸びずに順位を下げたが「今までだったら、1日しか続かなかったんですけど、今回は(公式練習含め)3日間ちゃんとスタートを意識して飛べたので、今日の結果につながった。やっぱりスタートが良ければ飛んでいけるって、今回の1本目で思った。もっと安定したスタートを切れるように、これからトレーニングして試合に挑みたい」と希望の持てる内容だった。昨年2月の北京五輪後、現役引退を撤回してまで挑んだシーズンで、日本勢の中でもひときわ存在感を示した。
次の課題は空中姿勢 克服でさらに上位へ
ナショナルチームの横川朝治ヘッドコーチ(56)も「どんどん良くなってるんですよ」と高評価。さらに上位を狙うためには「もうちょっとゆっくり空中(姿勢)をつくっていけば。しっかり踏んでスキーが一回しなって戻って来るんですけど、しなって戻る前に空中に行ってしまうんで、それだけちょっともったいない」と、課題克服に期待を寄せる。
次は〝始まりの地〟で初の表彰台を狙う。勢藤は2016年11月に蔵王で行われた全日本選手権ノーマルヒルで、その夏のグランプリを3戦無敗で総合優勝していた高梨を破って初優勝。18年平昌五輪直前のW杯蔵王大会では、初めて2戦連続シングル入りするなど、自身の五輪初切符につなげた。W杯13度の1桁順位のうち、最多は蔵王の4回。「良いイメージを持って蔵王に入れると思う。しっかり自分ができるジャンプと強い気持ちを持って、試合に臨めればいい」。気力も充実、技術も向上中の25歳が、さらに上昇気流に乗っていく。