札幌新加入のMF小林祐希 キャンプ直前単独インタビュー 「オファーが出たこと自体、驚き」
北海道コンサドーレ札幌の新たな一員となったMF小林祐希(30)が、沖縄キャンプ前に単独インタビューに応じた。かつては日本代表に選ばれ、海外4カ国でプレーするなど経験豊富な背番号99に、加入の経緯やミハイロ・ペトロヴィッチ監督(65)のサッカーの印象、今季に懸ける意気込みなどを聞いた。
30歳ベテランの域「話を聞いてからは迷いはなかった」
昨シーズン途中にJ1神戸に加入した小林は、9試合で3得点をマーク。リーグ下位で苦しんでいた神戸を残留に導いた立役者の一人という声も少なくなかった。自身も「正直、シーズンが終わった直後は神戸に残ると思っていたので、札幌に来るとは全く思っていなかった」と当時の心境を振り返る。
札幌から声が掛かった時も「オファーが出たこと自体、驚きでした。サッカー界で30歳といったら結構、ベテランの域になるし、チームをもう一段上に持っていく時には、やっぱり若い選手を獲ることが多いと思う。僕ぐらいの年齢の選手に声を掛けてくれた札幌には、すごい感謝しているし、話を聞いてからは迷いはなかった」と言う。
今季、獲得した選手を見ても、MF浅野雄也(25)、DF馬場晴也(21)、FW大森真吾(21)と若い選手が目立つ。「勢いのある選手、これからの日本を背負っていくような選手たちですが、勢いとか年齢とかは関係なく、まだまだ自分にもできることはある。自分もまた日の丸を目指して頑張りたいので、新しいチャレンジをしていきたい。いろいろなチームを転々としてきたから、札幌に根付いて、自分のサッカー、札幌のサッカーを確立していけたら」。目標とする日本代表復帰のためにも、札幌でまた定位置を奪い、新たなキャリアを築いていく。
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ミシャサッカー「どのポジションで出てもフィットできる」
〝超攻撃的〟を掲げるミシャサッカーの印象は、「3バックで攻撃的にやるチームはあまりない。3バックのイメージって、ほとんどが強いチーム相手に5バックになって守ってカウンターみたいなイメージがあるけど、(ミシャサッカーは)いろんな場面で数的優位をつくって、『ボールを握って前に行こう』という感じなのかな」。昨年8月13日の札幌対神戸戦(札幌ドーム)でベンチ入りしたが出場はなく、実際にピッチ上で指揮官率いるチームと対峙したのは磐田在籍時代の2016年3月6日の浦和戦まで遡る。それでも、その印象は明瞭だった。
これまでは4バックを採用するチームでのプレーが多かった。3-4-2-1を基本フォーメーションとする札幌では、「2(シャドー)の一角でやりたい」と希望を明かしたが、「どのポジションで出てもフィットできるのではないか」と柔軟に受け入れる姿勢を示した。「チームとしてどうするか、監督がどう考えるか。自分が思う自分と、監督が見る自分でちょっと違うかもしれないし、(開幕まで)1カ月くらいあるので、焦らずにすり合わせます。たぶんいろいろなポジションを試してくれると思うので、もしかしたらセンターバックで出るかもしれないし。1カ月後を自分も楽しみにしています」。指揮官は今季ポリバレント性を重視すると話しており、その起用法に注目だ。
「彼のFKはJリーグでNO.1」福森と共闘で高め合う
昨シーズン挙げた得点の中で特筆すべきゴールがある。10月29日の川崎対神戸戦(等々力)で決めた直接FKだ。10・11月のJ1月間ベストゴールに選ばれたが、「正直、自分より上手い人はたくさんいると思うけど、試合で決められるかは、また別の話。練習で良いボールを蹴るとか、たくさん決めるのはもちろん大事だけど、試合となると力も入るし、周りの雰囲気もあってプレッシャーがかかる。練習と同じプレーができるのが自分の強みなので、積極的に蹴りに行きたい」と自信を見せる。
札幌には言わずと知れたFKの名手・DF福森晃斗(30)がいる。同じ左足を武器とする福森について、「彼のFKはたぶんJリーグでNO.1じゃないかと僕は思っています。ちなみに名波浩さんもそう言っていました」と、その技術を最大限にリスペクトする。ただ、小林自身も簡単にプレースキッカーの役割を譲るつもりはない。「彼の良さが出る距離と、自分の良さが出る距離、角度がいろいろある。練習でゴールを決めてアピールしていかなければいけない」と一歩も引かない構えだ。
目指すはリーグV「それが叶えば、自ずと日の丸も見えてくる」
今シーズンの目標は、「チームとしては何かしらタイトルを獲りたい。だから全部の大会に対して本気で行くと思うけど、個人的にはリーグ戦優勝が一番難しいし、大変だし、重みのあるタイトルだと思うので、そこを目指して頑張りたい。それが叶えば、自ずと日の丸も見えてくる」と語る。高い技術と強いメンタリティーを持ち合わせた実績十分なベテランが、その左足で札幌をもう一段上のレベルへ押し上げられるか―。クラブに初タイトルをもたらす原動力となることができれば、代表復帰も夢ではないはずだ。
■プロフィール 小林祐希(こばやし・ゆうき) 1992年4月24日、東京都生まれ。東京ヴェルディユースから2011年にトップ昇格。翌12年には19歳でキャプテンとなる。磐田を経て16年8月にオランダのSCヘーレンフェーンへ移籍。ワースランド=ベフェレン(ベルギー)、アル・ホールSC(カタール)、ソウルイーランドFC(韓国)、江原FC(韓国)と海外4カ国のチームを渡り歩いた後、昨年7月にヴィッセル神戸に移籍し、6年ぶりにJリーグへ復帰した。J1通算45試合出場8得点。16年に日本代表に初選出され、6月のボスニア・ヘルツェゴビナ戦で代表デビュー。同年11月のオマーン戦で代表初ゴールをマークした。代表通算8試合出場1得点。182センチ、72キロ。利き足は左。ポジションはMF。