高嶺、シャビエル、興梠抜けた穴埋める選手たち

　２０２３年シーズンが始まり、北海道コンサドーレ札幌も沖縄でキャンプをスタートさせた。今回は新たに加わった選手について取り上げたい。ＭＦ高嶺やＦＷシャビエル、興梠が抜けたことはチームにとって痛かったが、今回の補強では、十分にその穴を埋められる選手が入ってきてくれたと思っている。

元日本代表・小林　「チャンスメーカー」　FKは福森との二枚看板に期待

　元日本代表のＭＦ小林は、まさに「チャンスメーカー」だ。左足から繰り出されるパスは正確で、ボールも収まる。攻撃の起点となり、バイタルエリアで何かを起こしてくれそうな期待感が持てる選手だ。プレースキッカーとしてもＤＦ福森との二枚看板で頑張ってもらいたい。

　長期離脱のケガ人が出て、層が薄くなったボランチの候補だと思うが、場面によってはシャドーでもいいし、いろいろなポジションをできれば、チームにとってもありがたい存在となるだろう。ピッチ外では、海外での経験や、プロとしての見本となる姿をチームに落とし込んでいってもらいたい。

左足の一発あるMF浅野　スピード生かした右のワイドも面白い

　広島から加入したＭＦ浅野はスピードのある選手。相手ＤＦの裏へ抜けるスピードだったり、左足のシュートが魅力的だ。札幌で使われるとしたらシャドーのイメージだが、右のワイドでもできる能力はあると思っている。広島でも同じシステムでやっていたので、ミシャのサッカーに順応するのは早いのではないだろうか。ＦＷ小柏と同様に、背後への飛び出しで札幌のチャンスメークを演出してもらいたいし、そういう選手は貴重なので、早く試合に絡んできてもらえれば面白い存在となるだろう。

世代別代表DF馬場　フィジカル強く攻撃面に特長

　ＤＦ馬場は各世代別日本代表に入ってきた選手。東京ヴェルディで３年間、積み重ねて来たものもあると思うし、若いうちからＣＢで先発できるというのはなかなか難しいこと。貴重な経験をしてきた選手という印象だ。

　守備面でフィジカルの強さというのもあるが、攻撃面に特長があると思っている。ボールを持ち運ぶことができ、ビルドアップやパスの組み立てもうまく、フィードも素晴らしい。札幌での特殊な守備に最初は苦労すると思うが、慣れてくれば十分、レギュラーを獲れると思う。右ＣＢのイメージが強いが、真ん中も左もこなせるポテンシャルはあるのではないか。

　体の強いＤＦタイプの補強はクラブとしても欲しかったところ。ペトロビッチ監督の下でもうひと回りレベルアップできると思うし、パリ五輪への出場もチームでの活躍が代表につながるので、まずはキャンプでしっかりとアピールしてほしい。

大卒ルーキー大森　ＦＷ金建熙とのハイレベルな１トップ争いを

　大卒ルーキーとなるＦＷ大森は、決定力のあるストライカーという印象。シュートがうまいし、ポストプレーもいい。前線でボールを収められると思うので、１トップのレギュラー候補と言っていいだろう。「個」でゴール前をこじ開けたり、打開することにも期待したい。ＦＷ金健熙との競争になると思うが、高いレベルで競い合ってほしい。大学で経験を積んできた選手なので、時間をかけて１年間、様子を見るというわけではない。「プロの世界」というレベルをしっかりと肌で感じて切磋琢磨してもらいたい。

帰ってきた具聖潤　菅野との高め合いでGK陣の底上げに

　最後になるが、ＧＫ具聖潤が再び戻って来てくれたことを嬉しく思う。このクラブへの愛や気持ちは強く伝わってきた。韓国では代表にも名を連ねていたし、Ｗ杯には残念ながら出られなかったが、しっかりと成長してきたからこそ最終メンバーまで選ばれたのだろう。

　本当にＧＫ菅野とのポジション争いが楽しみだ。菅野も具聖潤がいない間にしっかりと札幌のゴールマウスを守ってきた。それだけのプライドがあると思うが、ベテランということもあって「自分のやるべきことをやるだけ」というスタンスでいると思う。選ぶ選ばないは監督次第だが、良きライバル、良きチームメートとして互いに高め合ってもらいたいし、ＧＫ大谷、松原を含め、キーパー陣全体で高みを目指してほしい。

各クラブの対策打ち砕く突破力、打開力あるプレーヤーが必要

　ミシャ体制６年目となり、これまで積み上げてきたベースがある中で、プラスアルファをもたらす良い戦力補強ができたと感じている。札幌のサッカーも各クラブから研究され、対策を練られてきているが、今季はそれらを打ち砕き、良い成績を残せることを願いたい。引いて守備を固めた相手に対して、崩して得点を奪いにいくことは今年も難しくなってくるだろう。Ｗ杯でのコスタリカ戦のように日本代表においても課題となっていることと思うが、そういった状況では、マークを剥がして突破でき、ゴールができる、打開できるいうプレーヤーがやっぱり必要となってくる。既存の選手も含め、これから出てくる「個」の力というものにも期待したい。

（コンサドーレ・リレーションズチーム・キャプテン）