札幌円山球場にスピードガン導入 早ければ夏の高校野球支部予選から運用開始
約2億円かけスコアボードをリニューアル
道内のアマチュア野球の聖地・円山球場のスコアボードが、約28年ぶりに生まれ変わる。現在の磁気反転式から、2億円以上かけてLEDを使ったフルスクリーン式へ改修中で、3月末には完了する見通し。さらに、1935年(昭和10年)開業後、初めてスピードガンを常設し、各種大会開催時にスコアボードで球速表示が可能になる。道内の球場では、2001年開場の札幌ドームを皮切りに、旭川スタルヒン(10年)、釧路市民(15年)、苫小牧・とましん(20年)、函館オーシャン(21年)に続いて6球場目。札幌市スポーツ局によると、球速表示は早ければ今夏の高校野球札幌支部予選から本格稼働する見込みだ。
球速表示は醍醐味の一つ
18.44メートルで、どれぐらい速い球を投げられるか、球速は野球を彩る醍醐味(だいごみ)の一つだ。2016年、日本ハムの大谷翔平投手が札幌ドームでマークした、165キロの衝撃は記憶に新しいが、近年では道内高校野球でも、プロ選手並みの150キロを超える投手が続々と生まれている。昨秋、広島から1位指名された苫小牧中央高の斉藤優汰投手(18)は151キロ、阪神2位指名の東海大札幌高・門別啓人投手(18)が150キロと、ネット裏のNPBスカウトもスピードガンを片手に熱心に視察していた。
スピードガンの設置は、以前から円山球場の改修項目の一つに挙げられていたが、購入費用が約1000万円かかり、老朽化施設の改修が優先され導入が見送られてきた経緯があった。近年、設置を要望する声が多くなってきており「優先順位が変わった」(スポーツ局施設課)。機器はすでに購入済みで、新年度の予算で設置工事が行われる。北海道野球協議会の柳俊之理事長は「以前から要望は出していた。実現して良かった。お客さんも楽しいと思う」と札幌市の対応を歓迎した。
もちろん、スピードが全てではないし、勝敗を直接左右するものではないが、選手にとってもうれしいニュースだろう。プロスカウトが使用する汎用(はんよう)タイプの製品で約70万円と高額のため、高校の部活動では持ち合わせていないチームが多い。冬の間、トレーニングしてきた結果が実際にマウンドで可視化されることで、成果を確認できるツールにもなる。スタンドのファンにとっても、観戦の楽しみが新たに生まれる。新装された円山球場のスタートが今から待ち遠しい。