4度の膝手術乗り越え、原田侑武が3季ぶりコンチ杯出場 14日HTB杯ジャンプ
20日からのW杯出場権をかけ6人で3枠を争奪
HTB杯とSTV杯を兼ねたW杯下部のコンチネンタル杯3連戦が、14日から札幌・大倉山ジャンプ競技場で行われる。合計4回の膝手術から復帰したベテランジャンパー・原田侑武(32、雪印メグミルク)が、2019年9月以来の同杯に出場する。9日のHBC杯と記録会の結果で開催国枠を勝ち取った。2020年1月のHBC杯で着地の際に右膝前十字靱帯(じんたい)断裂と半月板を損傷し3度手術。翌21年に復帰も、11月には左膝の前十字靱帯を断裂。手術後の過酷なリハビリを経て、今年久しぶりの大舞台にたどり着いた。上位入賞を果たして、4年ぶりのW杯切符をつかみ取る。
恐怖と向き合いスタート台に立つ。3年前のHBC杯で大けがをした因縁の場所。この日は、4本飛んで感触を確かめた。「まだ怖いですね。でも、そこは絶対に打開していかなければいけない。飛び過ぎないと勝てないスポーツなんで、そこは克服していきたい。国際大会が久しぶりで、いままでちょっと刺激も足りなかったから楽しみな部分もある。トップテンへ行けると信じて臨みたい」と、自らを奮い立たせるように気合を入れ直した。
元監督の斎藤浩哉氏の存在が支え
大好きなジャンプ台に上がれない間は、「なぜ自分だけが」と苦悩することもあった。それを支えてくれたのが、チームの元監督で1998年長野五輪団体金メダリストの斎藤浩哉氏(52)の存在だ。現在はチームの運営に回っているが、現役時代は斎藤氏もケガに泣かされた。原田は「両方やってて、僕よりも多分ひどいですよね。後十字靱帯以外全部切れて、皮1枚でつながってたと聞きました。『それでも飛べたんだから大丈夫だって』」と声をかけて励ましてくれた。
さらに原田がジャンプ台に戻ってくるのを待っていてくれたチームメートやライバルの存在もある。「いまこうやってみんなと戦えることができて、多分どんな人よりもジャンプを楽しいって思っているのは自分。それを忘れないで今シーズンやっていきたい」と言い切る。
「なんか違う人の足みたいな感じ」
両膝は以前の様には動かない。痛みのせいで正座はできない。ジャンプも全ての感覚が変わり、ゼロから作り直した。「同じ感覚で飛んでも、ビデオ見たら全然違う人みたいな感じ。なんか違う人の足みたいな感じなんすよ。復帰してから、それが大変だったですね。飛び出しで、結構パワーで立つタイプなんですけど、それをやると痛いんですよ。スピードを殺さないような感じのタイプに変更していかないとダメだな」。築き上げてきたスタイルを捨て去り、試行錯誤しながら昨年7月に行われたサマージャンプ朝日大会で復帰した。9日のHBC杯で今季初シングルとなる7位に入り、状態が上向いてきた。
コンチネンタル杯は2日で3試合。「まずはコンチ。そこでいい結果を出せないとW杯なんて絶対にムリ。今季の最終目標はW杯でポイントを獲得すること」と、あくまで通過点と捉えている。不屈のベテランジャンパーが、ビッグジャンプを繰り出す。