トップチームでミシャの指導術を学ぶ砂川誠新コーチ「学びたい監督の下でコーチになれることは幸せなこと」
今シーズンから北海道コンサドーレ札幌のトップチームで指導する砂川誠コーチ(45)。現役時代は2003年に札幌へ加入すると、15年シーズン途中に岐阜へ期限付き移籍するまで、約12年半の長きにわたって攻撃をけん引し続けてきたレジェンドだ。同年の現役引退から7年。満を持してトップチームの指導陣に加わった砂川コーチに話を聞いた。
「指導者を続けていく上での1個の柱みたいなものが自分の中で見えたここ数年」
引退後、いずれトップチームで指導したいと考えていた砂川コーチの思いを加速させたのは、18年に札幌の監督に就任したミハイロ・ペトロヴィッチ監督(65)の存在だ。「学びたい監督の下でコーチになれることは幸せなこと」との思いから、三上大勝代表取締役GM(51)に「ぜひ近くで仕事がしたい」と打診。アカデミーを指導しながら、トップチームで指導術を学べんできた。
18年から5年間、中学・高校年代のさまざまなカテゴリーを担当し、指導者としての経験値を積み上げる一方で、トップチームの現場でミシャイズムを学んだ。「日本人の監督がよく言う『3人目の動き』だったり『前向きをつくる』ということを、言葉じゃなくてトレーニングの中で落とし込んで、それが実際にピッチで表現される監督に初めて会った。今後指導者を続けていく上での1個の柱みたいなものが自分の中で見えたここ数年だった」と名将の指導術から受けた衝撃を語る。
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「選手を伸ばし、結果を残せる選手を輩出する責任はかなり重い」
11日から始まったトップチームコーチとして初めての沖縄キャンプ。「実際に毎日近くで仕事ができる機会をもらえたので、今後指導者を目指す上で、非常にいい経験になるな、成長できるな」と、より間近でミシャの指導法を吸収し続ける日々を過ごしている。だが、選手育成が主な目的であるアカデミーとは異なり、トップチームは何よりも結果が求められる世界。「自分の成長の場だけではない。選手を伸ばし、結果を残せる選手を輩出するという部分でも責任はかなり重いと思う」と、激しい戦いの場に臨む覚悟はできている。
トップチームでは主に若手の指導を担う。「若い選手に対しての声かけだったり、自主トレでボールを出したり。ゲームに参加することもありますし、実際に動きながら一緒に成長する部分は、今できる自分の1個の特長かなと。自分のプレーした経験を生かして、実際にその子たちが見ている景色の中で、うまくヒントが与えられればと思っています」と、共に汗を流しながら選手を育てていくつもりだ。
「僕らのいた時代とは全然違う。今はタイトル、ACL出場がチームの目標」
砂川が現役として戦っていた時代、札幌はなかなかJ2から抜け出すことができず、J1昇格を2度勝ち取ったものの、いずれも1年で降格の憂き目にあってきた。だが、引退後の16年に5度目のJ1昇格を果たすと、18年から就任したペトロヴィッチ監督の手腕もあり、札幌はJ1の舞台で戦い続けている。「僕らのいた時代とは全然違う。当時はJ1残留が大きな目標でしたけど、今はタイトルだったり、ACL出場がチームの目標で、みんなそこを目指している。選手のときにはたどり着けなかったけれど、スタッフとして少しでもその力になれたらうれしい」。これまで選手、アカデミー指導者として札幌と歩んできた砂川コーチ。また新たな役割を得て、さらに近くで世界一流の指導術を吸収していく。