小林陵侑札幌3連戦はV締め! 140メートル超連発に「楽しいジャンプができた」 男子ジャンプW杯
■W杯ジャンプ男子札幌大会(22日、札幌・大倉山ジャンプ競技場=ヒルサイズ137メートル)
▽個人第16戦
予選から3本続けて140メートル超
これ以上ない〝フィナーレ〟となった。今季の自国開催最終戦でも、小林陵侑(26、土屋ホーム)が主役に躍り出た。1回目141メートル、2回目は最長不倒143メートルの280.0点で通算29勝となる今季2勝目。試合後のインタビューでは「みなさんもぶっ飛んでいきましょう!」と呼びかけ、完全復活を遂げた札幌3連戦を締めくくった。
まさに異次元だった。この日の予選は140メートル、145.2点の1位で通過。逆転3位を果たした前日21日の2回目の飛躍で「(今季の)トータルでも一番いい」と話したように最高の手応えをつかみ、個人第16戦を迎えた。本戦1回目も140メートル超の飛躍を見せ、6.2点差の2位で折り返した。
5人中3人が飛型点20点満点
期待を一身に受けた2回目は143メートルを記録。テレマークもしっかり入れて着地すると、拳を高々と突き上げた。飛型点でも5人中3人の審判員が20点満点を付ける59.5点と、ほぼ完璧な飛躍。1回目首位のハルボルエグネル・グラネル(26、ノルウェー)を逆転し、札幌3連戦で2度目の優勝を果たした。文句の付けようがない結果に「楽しいジャンプができたので良かったです」と喜んだ。
予選から140メートル台を揃えた結果に「3本ともですけど、すごく内容も安定して良かった」と胸を張った。飛型点で満点を付けた1人、チェコのヤロスラフ・トゥチェク審判員からも「20点を付けたのは初めてなんだ」と写真撮影を求められたそう。まさかの要望に小林陵は「うれしいっすね」とはにかんだ。
新ジャンプスーツとの相性ばっちり
スーツの計測方法など変更に苦しんだ前半戦だったが、カッティングを変更し、この札幌大会から新調したジャンプスーツとの相性がバッチリだ。「スーツもだいぶ他の国に近づいてきた。今までは道具が厳しかったので、頑張らざるを得なかったんですけど、すごく余裕が出てきた」と精神面でもプラスに働いている。共にW杯を戦ってきた同級生の中村直幹(26、フライングラボラトリー)が「全然別人に見えますね。スーツを信用していると、体も大きく動ける」と驚くほどの変貌を遂げた。
個人総合ランキングも、札幌大会前の21位から7位まで急浮上。充実の自国開催を終え、W杯後半戦、そして表彰台経験のない世界選手権に向かっていく。「世界選手権は毎回微妙な結果に終わっているので、今年こそはリベンジしたい」。3日間で真冬の札幌を熱狂させた〝Roy〟が、狙うは世界選手権の頂だ。