札幌光星高サッカー部の川合 関東1部昇格の中央大へ進学
父・孝治さんは元北海道コンサドーレ札幌選手で初代チーム得点王
昨年夏のインターハイに28年ぶりに出場し、冬の選手権道大会では準優勝に輝いた札幌光星サッカー部のFW川合流央(3年)が、今春から関東1部リーグに昇格する中央大商学部に推薦で合格した。昨年3月に練習参加した際、同大OBでテクニカルアドバイザーを務める元日本代表MF中村憲剛氏(42)に直接声を掛けられ、強豪校への進学を決意した。元北海道コンサドーレ札幌の選手で、初代チーム得点王の父・孝治さん(52)の背中を追い、4年後のJリーガー入りを目指す。
毎年のようにJリーガーを輩出する中央大で、1月27日の初練習からサッカー漬けの毎日を送る。昨年12月9日に合格の知らせは届いた。「3月に練習会に参加させていただいたことが一番大きくて、自分もこの志の高いところでやりたいなって思いました。今はやっていけるかどうかよりも、楽しみの方が強いですね。大学を卒業したら、(Jリーグでは)即戦力になれると思うので、もう1年目からバリバリ出たい」と、4年後の確かなイメージを抱く。
元日本代表MF中村憲剛氏から3月練習会で「良いものを持ってる」
3月の練習参加では若手中心のメンバーに加わり、関東一高との練習試合に出場。中村氏に「良いものを持ってる」と言わしめた。川崎フロンターレ時代に同氏と同い年のチームメートだったという札幌光星高の小林宏之監督(42)によると、「サイドを崩して、ゴール前に入っていく時に、先輩をニアに走らせて、自分が一番良いところに入っていったんですよね。キーパーに止められたんですけど、良いシュートでした」。中村氏からも「いい度胸してるね、先輩を使って自分、良いとこに入ったでしょう」と褒められたという。川合は「オーラがすごくて、めちゃめちゃかっこ良かった」と当時を振り返り、目を輝かせる。そこからは進路を中央大一本に絞った。
インターハイで活躍も選手権道大会では決勝で涙
高校ラストイヤーの昨年夏、一気に道内注目のプレーヤーに台頭した。10年ぶりに昇格した高円宮杯U-18プリンスリーグ北海道では勝ち点14を獲得したものの8チーム中7位。しかし6月に網走で行われた全道大会では、準決勝の帯広北高戦で28年ぶりのインターハイ出場を決める決勝ゴールを叩き込んだ。7月の全国大会1回戦で対戦したのは優勝経験もある強豪の富山第一高。そこでも後半35分に値千金の決勝弾を決め、1-0での勝利をもぎ取り、一躍注目の的となった。「久々の全国大会。やっぱり全国大会で決める1点は、ほかの1点とは違うなと改めて思いました」と大舞台で躍動した。そして10月、全国高校選手権道大会の決勝では、北海高と対戦して一時同点のPKを決めるも1-2で振り切られて惜敗。悔しさを胸に大学での成長を誓った。
中村氏とフロンターレで共にプレーした札幌光星・小林監督「スケールが大きい」
進学先の中央大ではフィジカルモンスターに変身するつもりだ。現在は185センチ、70キロと細身だが、「まずは体づくりです。もっとあってもいい」と、ゴール前で当たり負けしない強靱な肉体を身につける。自分のストロングポイントに、本人は「あまり自信ない。ゴール前で焦らない冷静さを身につけたい」とやや弱気な発言だが、小林監督は「スケールが大きいところと、勝負強さというか、持ってる。ゴール前の嗅覚ですね。なんかこの辺かなみたいな。楽しみ」と、そのポテンシャルに期待を寄せる。
サッカーを始めた少年団と同じオレンジ色のユニホームに
父親が元Jリーガーという家庭環境だったが、サッカーを始めたのは意外にも札幌円山小4年時と遅かった。「最初は水泳をやっていて、1級を取ったらサッカー少年団に入れてあげる」という両親の意向で、スイミングスクールに通った。最後は選手コースにスカウトされるぐらいに水泳も上達したが、札幌円山少年団でサッカーを始めた。ユニホームは「円山少年団も(中央大と同じ)アンブロのオレンジなんです」。記者が「運命かな?」と聞くと「かもしれない」と屈託のない笑みを浮かべた。
中学時代は札幌U-15所属 試合に出られない悔しさも「感謝しかない」
同小5年時に北海道コンサドーレ札幌U-12入り。「父のコネで」と、冗談交じりに経緯を明かしてくれたが、父・孝治さんに真意を訪ねると、どうやら川合家流の照れ隠しの様子。札幌向陵中時代は札幌U-15。3年時は2つの全国大会に出場も川合はほぼベンチだったという。高円宮杯準々決勝のG大阪ジュニアユース戦では、静岡学園経由でトップ昇格するMF高橋隆大を見て、「めちゃくちゃうまかった」と、レベルの差を思い知った。結局、札幌U-18へは進めず札幌光星へ進学。「見返してやろうっていうのはなくて、ここまで良い経験をさせてくれて感謝しかない」と高校サッカー部の道を選び、目標は全国高校選手権へと変わった。
高校入学当初は「フィジカルも、根本的な技術やメンタルも、全て足りてなかった。サッカーを楽しめてなかった。もう怖かったすもん。大きい人がたくさんいて」と壁にぶつかった。1年冬、小中では「全くしてこなかった」というドリブルをコーチと二人三脚で鍛えた。個の力を磨くと、2年春からは右サイドハーフでメンバー入りし、徐々に点取り屋としての才能を開花させていった。
同期には全国選手権で岡山学芸館高を初優勝に導いたMF岡本温叶ら猛者が揃う
中央大サッカー部は部員約100人が在籍。初めての道外暮らしとなるが、1学年先輩には札幌のアカデミー時代の先輩MF砂田匠(札幌稲雲高出)がおり、「心強いです」と心配は無い。同期には1月の全国高校選手権で岡山学芸館高を初優勝に導いたMF岡本温叶ら、全国からプロ入りを目指す猛者たちが集う。「みんな、僕よりも確実にうまいので、一番下からのスタート。やっぱりフォワードは点を決められれば何とかなる。逆に点を決められなかったら何の存在価値もない」。同じフォワードだった父親譲りのインパクトのある結果を残し、厳しい勝負の世界で生き残る。
■プロフィール
2004年9月15日、札幌市生まれ。札幌円山小4年の時に競技を始める。同5年から北海道コンサドーレ札幌U-12。6年時のチビリンピック小学生8人制大会3位。全日本少年大会8強。札幌向陵3年時には札幌U-15で日本クラブユース選手権U-15で16強入り。高円宮杯全日本U-15選手権大会8強。185センチ、70キロ。右利き。家族は両親と妹。好きな選手は元イングランド代表FWジェイミー・ヴァーディ(英プレミアリーグ・レスター)。