北山 ワインドアップ人生初挑戦「同じことをしていても、去年と同じ結果かそれ以下にしかならない」
鎌ケ谷で自主トレ さらなる飛躍へ変化を恐れず
フォーム&メンタル大改造だ! 日本ハムの北山亘基投手(23)が26日、千葉・鎌ケ谷の球団施設で自主トレを行い、人生初挑戦中のワインドアップ投法を披露した。今オフ、練習を続けてきた新フォーム。左足を上げた際の静止をやめるなど、大きな改良を加えた。公式戦で使用するかは未定だが、上々の手応えをつかんでいる。12月上旬には座禅体験を行い、ピンチで動じない精神力も鍛えてきた。キャンプイン、そして2年目のシーズンへ、準備万端だ。
両腕を頭上に振り上げると、流れるような投球動作で力強いボールが放たれた。セットポジションを中心に、終盤は両手を胸の前まで上げるノーワインドアップを混ぜていた昨季とは、明らかに違う投げ方だ。「同じことをしていても、去年と同じ結果かそれ以下にしかならない。僕は去年の結果に全く満足していないので、やっぱり改善していけるところはしないと、(昨年の経験が)何の意味もない。挑戦しながら、失敗したらまた戻せばいいだけ」と大胆な変更の意図を説明した。
ブルペンで30球 新フォーム披露は「2・1」紅白戦
仕上がり具合には好感触を得ている。この日はブルペンで捕手を座らせ、変化球も交えて30球を熱投。「鎖骨周りを使うことを意識したフォームなんですけど、これ以上難しく言っても多分(記事を)読んでくれる人が分からないと思う」と笑いつつ、「すごく感覚が良くなっている。動きの中で、連動性が出てきている。球速であったり目に見える数字は大差ないですけど、打者から見たフォーム的な間合いだったり、ちょっとしたタイミングのズレを追求してやっているので、そこは手応えがある」と充実感をにじませた。
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ワインドアップの実戦初披露は、今季初登板が予定されている2月1日の紅白戦になる見込みだ。今後は新フォームが打者にどれだけ通用するかを見極め、3月30日からのシーズン本番で使用するか判断する。「対バッターになって、一回抑えてもその後それがずっと続けられるかも問題になってくる。そこをうまく自分の体も強化して改善しつつ、それが(フォームに)ハマっていけば一番良い形になる」と進化形をイメージした。
興味のあった座禅も実践 「自分自身の中に目を向ける」
フォームだけでなく、心の強化にも着手した。取り入れたのは、以前から興味を持っていた座禅。狙いは「精神的な集中状態、無になること」の体験だ。「それを経験できるのはオフシーズンしかない。自分の中に目を向ける体験は、すごく(野球に)生きてくるんじゃないかなと思った」と考えを巡らせ、行動に移した。
「魔女トレ」を教わるなど親交があったダンサーの西園美彌さんから、僧侶の藤田一照さんを紹介してもらい、12月上旬に神奈川・逗子まで出向いて座禅を実践。「足を組んで、手も合わせて、自分自身の中に目を向ける。無になることが目的なので、例えば体のゆがみが気になっても、それを受け入れる。今、自分はこういう状態なんだっていうのを無になって感じる。生き方、考え方の話も聞きながら、そういう体験をしました」と振り返った。
貴重な経験を通じ、無になることの本当の意味を知った。「無になるっていうのは、何も考えないことではなくて、物事を何のフィルターもかけずに、そのままの状態を受け入れられるようにすること。何もフィルターのない状態で物事を捉えたり、見たりできるのが無っていう状態だよって言われて、一番心に残っています」。学びは全て、野球につなげる。「ピンチの時とか、すごく生きてくると思う。マウンドで孤独な状態で、例えばランナーがたまってきた時に、その環境に左右されるんじゃなくて、その環境すらも受け止める。自然体っていうのはすごくいい言葉。そういう意識で常にいたい」。どんなピンチにも動じない鋼のメンタルで、新球場のマウンドに君臨するつもりだ。
米シアトルのドライブラインも訪問 プロ2年目シーズンに向けてオフも全力
12月中旬には米・シアトルのトレーニング施設「ドライブライン」で動作解析などを行い、詳細なデータを手に入れた。「数字として見えたっていうのは、いいかなって思っている。自分の課題にしていたところが、実際に数値的にも同じ課題だったり、裏付けがとれた」。帰国後も課題克服のため、細部を突き詰めて練習してきた。
昨季はドラフト8位入団のルーキーだったが、いきなり開幕投手に抜てきされ、その後は抑え、中継ぎとしてチームトップの55試合に登板した。それでも、現状に甘んじるつもりはない。「今年もルーキーが入りましたし、どんどん良い選手が入ってくる中で、勝ち続けていかないといけない。成長し続けないことには何も進まないと思うので、そこはかなり意識して、ちょっとでも良くなるように日々考えています」と力を込めた。真価が問われる勝負の2年目。教授のニックネームを持つ向上心の塊は、新たなフォームと不動の心で大きな飛躍を遂げてみせる。