ファイターズ
2021/10/08 15:34

栗山5年連続V逸 ファンのみなさんに申し訳ない

5年連続のV逸が確定し、ベンチを出る栗山監督(撮影・大島拓人)

日本ハム3ー4オリックス(7日、京セラドーム大阪)

 大海粘れず、5年連続のV逸…。日本ハムは7日、オリックスに3―4で敗れ、優勝の可能性が完全に消滅した。負ければV逸が確定する一戦に先発した道産子ルーキー伊藤大海投手(24)は、3―3の五回に勝ち越し打を許し、6回6安打4失点(自責3)で降板。打線は野村佑希内野手(21)のソロ本塁打などで2度勝ち越したが、首位の勢いに屈し、競り負けた。CS進出圏内の3位・楽天とは、残り18試合で11ゲーム差。わずかな可能性に望みをかける。

 低空飛行のまま、屈辱の瞬間を迎えた。敵地で首位のオリックスに競り負け、リーグ優勝の可能性が消滅した。5年連続のV逸。栗山監督は「優勝だけを考えてきた。選手やファンのみなさんに申し訳ない」と謝罪した上で「まだ可能性はゼロじゃない。3位からでも日本一になれるので、そこに向かって全力でいく」と必死に気持ちを奮い立たせていた。

 先発の伊藤が味方の失策絡みで1点を失うと、毎回走者を背負い、苦心の投球を強いられた。6回4失点。1点を追った打線は相手の好守に反撃を阻まれるなど、もうひと押しができなかった。

 今季は開幕2戦目に初白星を挙げた後、引き分けを挟んで7連敗。11試合でチームの本塁打は1本だけだった。主力が揃ってスランプに陥り、得点力が低下した。

 現在、チーム本塁打66本は12球団ワースト。トップは近藤の9本で、2桁が1人もいない。昨年、31本の中田がチームメートへの暴力行為に端を発し、トレードで移籍。14本の大田は長い不振で2軍に降格した。もともと貴重だった長距離砲2人の離脱は、痛すぎた。また、次の主砲候補の清宮は、オープン戦で結果を残せず、開幕から2軍生活となった。

 新型コロナウイルスまん延の影響も少なからず、受けた。ビザの手続きなどの問題で、王以外の外国人4人の入国、チーム合流が遅れた。カバーする手だてはない。開幕直前、栗山監督は「全員がキャリアハイを目指してくれ」と訴えかけていた。その表情、口調は切迫していた。厳しい戦いになると予見していたが、個々の覚醒に懸けるしかなかった。

 近年は投手の球速が上がり、変化球の種類、質が格段に向上。総体的に3割打者が減り、安打でつないで得点する割合が減っている。指揮官は「昔はピッチャー返しだけをしっかりしていれば、2割5分は打つだろうという時代があった。今はそうじゃなくなっている」と力説していた。23年には新球場の開業を迎える。詳細な分析に基づき、長打を求める野球へシフトしているが、すぐには機能しなかった。

 転換機を迎えているチームは残り18試合で何を見せられるか。本拠地のファンは希望の詰まった答えを待っている。(榎本真之)

大海遠い10勝 6回4失点

 2桁勝利を懸けた4度目の挑戦も、失敗に終わった。今季9勝を挙げている鹿部町出身のドラ1ルーキー・伊藤が先発し、6回6安打4失点(自責3)で8敗目を喫した。

 一回に味方の失策で先制点を献上する不運もあり、なかなかリズムがつかめなかった。相手の4番・杉本に30号ソロを浴びるなど、三、四、五回に1点ずつ失点を重ね「点を取ってもらってすぐに相手に点を与えてしまい、先発として流れをつくり切れなかった。またふがいないピッチングになってしまい、チームに申し訳ない気持ちです」と肩を落とした。

 9月7日の楽天戦以来、1カ月白星から遠ざかっている。新人王争いで12勝のオリックス・宮城に食い下がるためにも、“10勝の壁”を早く壊したい。

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