札幌創成の戸出新監督 南北海道からも甲子園へ「今まで経験してきたものを融合しながら」《新天地で輝く》
白樺学園で24年間監督を務め、交流戦含む計4度の甲子園出場
伝統を重んじながら、自らの経験を織り交ぜていく-。昨秋の札幌支部予選で敗退した札幌創成は、帯広・白樺学園で24年間監督を務めた戸出直樹新監督(47)体制で初の甲子園を目指していく。昨春から札幌創成に着任し、秋季大会が終了したタイミングで遠田誠治前監督(58)から引き継いだ。
戦いの場は知り尽くした北北海道から、実力校がひしめき合う南北海道に移った。自身は札幌大で現役を卒業すると、すぐに白樺学園の監督に就任。昨春までの24年間で指導者として計4度の甲子園を経験した。「(学校を変えるのは)初めての経験。とにかく新しいことなので、一つ一つできることをやっている」。札幌でイチから、甲子園を目指す。
札幌創成では「チャンスが来たときに逃さないような体力、気力の準備をしたい」
白樺学園時代から南北海道の野球については「レベルが違う。札幌の方が力強さとかもあるし、子供たちが場慣れしている」との印象を抱いていた。札幌支部、そして全道大会を勝ち抜くことはたやすいことではないが、「練習は嘘はつかない。高校野球をやっている以上は甲子園を目指さないと。全てのチームにチャンスはある。それをつかみ取れるか取れないかの問題。つかみ取れる運、チャンスが来たときにそれを逃さないような体力、気力の準備だけはしたい」
「あえて理不尽を与えている」 瞬時の状況判断、臨機応変な対応力のため
練習メニューの意図は基本的に伝えるが、時折、何も説明せずに練習を課したり、時間を短くすることもあるという。野球では臨機応変な対応力が重要となる。その状況判断を瞬時にできるよう、「あえて理不尽を与えている」と説明した。また、野球だけではなく、卒業後の人生も見据え「(高校の)2、3年で世の中で役に立つような土台の部分だけはつくりたい」と人間力形成にも力を入れる。
屋内練習場で実戦形式増やし、コミュニケーション増に期待「チームプレー、連係が大事」
札幌創成は学校内に屋内練習場があり、野球部は自由に使用できる。戸出監督は「恵まれている環境」と感謝し、その中で内野のみを就かせた実戦形式の練習を増やしている。「チームプレー、連係が大事になる」と、実戦が増えることで選手同士のコミュニケーションは自ずと増える。「時代の流れと共に、携帯電話での連絡になってきているので、コミュニケーションは取れていない。余計、野球の練習は『もっと話をしながらやりなさい』って言っている」
その手腕に期待は高まるが、「今までの創成高校の歴史がある。今までの伝統を汚さないように、良いところを継承する」と、まずは札幌創成のカラーに馴染むことを重視。その上で「自分も今まで経験してきたものを融合しながら、生徒たちのためにプラスになっていけば」。自身5度目の甲子園に向けて、土台を築いていく。
■プロフィール 戸出直樹(といで・なおき) 1975年10月25日生まれ、帯広市出身。白樺学園高では内野手としてプレー。札幌大に進学すると、外野手に転向した。1998年に白樺学園の監督に就任。2006年夏、11年夏、15年夏、20年春(新型コロナの影響により夏に交流試合)と甲子園に導いた。教え子にはロッテの河村説人投手(25)、NTT東日本の片山楽生投手(20)などがいる。昨年4月、札幌創成高に着任してコーチを務め、同年9月から監督となった。家族は妻と1男2女。